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畑だけでなく民家の庭まで被害に…大増殖する害獣「キョン」とは?“高級食材”として一匹6万円で取引されることも

「人がクマに襲われた」というニュースが頻繁に流れてくるようになった。しかし害獣はクマ以外にもたくさんいる。今回は害獣と人間がせめぎ合う最前線、千葉県君津市を訪ねた。

「ジビエの対象にならない」特定外来生物の問題点

害獣

昨年度の千葉県におけるキョンの捕獲数は8864匹。「ギィー!」という鳴き声にも苦情が多数寄せられているという

 千葉県南部で大繁殖して、農作物に被害をもたらしている害獣がいる。それがキョンだ。中国や台湾を原産とする体長50㎝ほどの小型のシカだが、厄介なのはその繁殖力。  千葉県の推計によると、’06年に9100匹程度だったが、’22年には約7万1500匹まで激増。  県は’21年度から「キョン防除実施計画」を設定し、年間8500匹以上の駆除を目指しているが、「予測以上のスピードで繁殖している。畑だけでなく、人家に侵入して庭を荒らす被害も増えています」(千葉県農地・農村振興課)と、対応が追いついていない状況にある。

キョン肉を扱うのは“撲滅するまで”

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猟師工房ドライブインを立ち上げた原田さん。趣味で狩猟をしていたが害獣被害の現状を知って10年前に起業した

 また、千葉県は害獣対策の一環としてシカやイノシシなど野生鳥獣の肉を「房総ジビエ」と名づけて、加工品販売や料理コンテストに力を入れている。  しかし、特定外来生物のキョンはその対象にできない。県内の君津市にあるジビエ肉の販売所「猟師工房ドライブイン」の代表・原田祐介さんが問題を指摘する。 「キョンは中国や台湾で高級食材として知られ、一匹6万円で取引されることもある。ウチで扱うキョン肉も100gあたり1500円前後だが、あっという間に完売するほど人気。ですが、キョン肉を扱うのは“撲滅するまで”と決めています。キョンを房総ジビエに加えて市場価値をつけてしまうと、キョンを繁殖させる業者が現れて生息地の拡大に繫がるリスクも出てくる。日本では撲滅すべき特定外来生物なので、行政も産業として定着させるわけにはいかないのでしょう」
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