更新日:2024年04月10日 18:45
お金

手取り12万円・ボーナス無しからの返済生活…奨学金を借りた漫画家が「30歳で200万円を返すまで」

「ボーナスをもらった経験」はないものの、30歳で完済

その後も久松氏は不況下で務め先の倒産なども経験。印刷やデザイン業界の会社を中心に5〜6社ほどブラック企業を渡り歩くことになった。 ちなみに日本学生支援機構の奨学金の返済方法には、毎月一定額のほか毎年1月・7月のタイミングも合わせて併用返還する「ボーナス払い」に似た返還方法がある。久松氏はこの「月賦・半年賦併用返還」という方式で奨学金を返済していたようだ。 「社会人になってから年1社ほどのペースで会社を転々としていて、その間も奨学金を返済し続けていましたが、完済したのは30歳ぐらいだったと思います。とくに夏と冬の年2回、1回4万円くらいの返済がキツかったです。ほとんどの会社で私は正社員として雇用されていたんですが、一度もボーナスをもらった経験がないので……

毎年金欠だった時期は…

半年に1回の返済額が年8万円として、約200万を10年ほどで返済したとなると、月賦返還の金額は1万円ほどの計算だが、当時の久松氏の収入的にはなかなか重い負担だったに違いない。 「転職を繰り返すうち『人生どうにでもなれ』とヤケクソな気分になって、そこから“同人ゴロ”を本格的に始めるようになったんです。書店での売上も含めてまとまった現金が入るのはコミケ後の8月〜9月と12月末〜1月。しかも、当時は印刷会社への支払いも現金払いだけだったので、7月は毎年金欠でした。最終的には印刷代や奨学金の返済金を母に借り、コミケの売上から返すようにしていましたね」 ※同人ゴロ:流行りの人気ジャンルにいなごのように群がり、小銭を稼ぐ人たちのこと
次のページ
奨学金を借りたことに後悔は?
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ