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奨学金を借りた人々を取材して見えた「借りないとどうしようもなかった」人の多さ

学生時代に奨学金制度を利用した人たちのライフストーリーを通じ、奨学金を借りたことで価値観や生き方に起きた変化を描く「東洋経済オンライン」の人気連載が書籍化。『奨学金、借りたら人生こうなった』として発売中だ。奨学金の返済苦と若者の貧困に関する一面的な報道が多いなか、当事者たちの証言を集めてきた著者の千駄木雄大氏に、奨学金を取り巻く実態を紹介してもらった。

大学生の2人に一人が奨学金を借りる時代

奨学金

写真はイメージです(以下同)

――「東洋経済オンラインアワード2022」のMVPを受賞した連載の書籍化とのことで、まずは連載開始の背景からうかがえれば。 千駄木:もともとは奨学金のネガティブな側面を取り上げる報道が目立つなかで、実際に当事者たちが得たもの・失ったものをフラットに紹介しようということで担当編集者と立ち上げた連載企画です。本書は金額順に並べる構成にしていて、約200万円を借りた事例から、2400万円の奨学金を借りた事例まで収録しています。 ――読み進めていくと徐々に金額が上がっていくのでハラハラしました。奨学金を借りている人は多いですから、興味を持たれやすいテーマではありますね。 千駄木:令和2年度のJASSO(日本学生支援機構)の奨学金を借りている大学生(昼間)の割合は49.6%なので、大学生のうち2人に1人、少なくとも100万人以上の学生が奨学金を現在借りている計算です。90年代は大学生全体の約20%しか借りていなかったので、割合も人数も急増しているのは間違いないですね。

給付型は条件が厳しい現実

――最もメジャーなJASSOの貸与型の奨学金制度について簡単に整理したいです。私含め、奨学金を利用したことがない人はイメージがピンと来ないところもあるので。 千駄木:JASSOの奨学金は大きく「第一種」と「第二種」に分かれます。「第一種」は高校時代の成績や家庭の経済状況などの借入条件が厳しい無利子、銀行が貸付する「第二種」は有利子で希望者が借りやすくなっています。なので、一般的には第二種を借りる人が多いんですが、両方借りることもでき、例えば上京して満額借りると4大でも800万円は超えてきて、毎月4万円弱の返済が40歳まで続くイメージですね。JASSOは2017年から給付型を始めていますが、かなり条件は厳しく1割程度なのが現状です。 ――大学・自治体・企業が用意する給付型の奨学金制度も多いようですが、給付型はやはり競争率が高く現実的な手段にはなっていないと。 千駄木:最近は少し状況が変わってきつつあるようですが、基本、給付型は評定平均値が3.5以上みたいな成績優秀者がようやくをもらえる感じです。奨学金は海外だと給付型が普通で、貸付がほぼないので海外留学生は少し戸惑うようですね。ただ、給付型以外に貸与型という選択肢があることで、大卒カードを獲得するチャンスを多くの人たちに与えている面は事実としてあると思います。
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「奨学金があったから今の自分がある」
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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奨学金、借りたら人生こうなった

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