――1対1っていうのは働きやすいの？ 「やりやすいです。なんでかっていうと、1対複数人だと会話が聞きとれなかったりとか、会話が追いつかなかったりとか、なんか気の利いた返し方とかが複数人だと難しくって。これまで、それで戸惑うことが数え切れないぐらいありました」 ――風俗を中抜きや搾取と捉えてる人もいる。それを紗希さんはどう思うのか？ 「人によって違うと思います。というのは、本当に重い障害があり判断の能力がない子であれば搾取だし。騙されてとか、無理やりとか、そうして働かされている子も一定数いるんだと思います。働いてるなかで、実際、明らかに私より重度の障害があるような子も見たことありますし」 ――でも、そういう子も受け入れてくれるっていうのが風俗だったりするわけだよね。そこに対してはどう思う？ 「助けてもらえる子は天国だと思います。でも、本当に重い障害の子に対しては、騙されて逆に搾取されちゃったりとかもあるだろうから地獄だと思います」 ――ストーカーに投資詐欺に搾取。風俗には、リスクはあるけど光もある、と。 「はい。私からすればいろんな人に助けてもらったんで」 ――じゃあ、後悔とかそういうのは一切ないわけだ。 「ないですね。むしろ自立とか、親から離れられたのは風俗のおかげだし、本当に感謝してます」 　紗希の目は正面をみすえ、口調に淀みがない。紗希を忌まわしい過去から開放したものは、まぎれもなく売春であり風俗だったのだ。