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TBS『サンモニ』に30年間出演。“プライベートでは目立ちたくない”アナウンサーの現在

大人の男性がボロボロと泣き出してしまう絵本も

 COTOCOTOでは、後輩キャスターなどにも協力してもらいながら、プロのミュージシャンの演奏や映像と合わせた“朗読ライブ”が定期的に行われている。読書の魅力とはまた違う、朗読の深淵とはどのようなところか。 「音楽、映像、朗読が三位一体となりますが、1+1+1が3ではなく、100くらいの魅力に増幅するところでしょうか。黙読をしているときに『いい話だな』と感じる作品を朗読していると、自分で泣いてしまう場面があります。朗読ライブでは絵本も読みます。大人はあまり手に取る機会がない絵本ですが、絵本の朗読を経験してみるとその良さがわかると思います。大人の男性がボロボロと泣き出してしまう絵本もあるくらいです

“本を読まない”大学生に思うこと

 アナウンサーとして30年以上第一線で活躍してきた橋谷氏にとって、「ニュース原稿を読むこと」と「物語を朗読すること」はこんな違いがあるという。 「噛まない、滑舌を意識するなどの基本は同じですが、明確に違うのは、“使う筋肉”とでも言えばいいのでしょうか。たとえばニュースを読むときは、取り上げられている事柄について自分自身がきちんと理解していなければ、視聴者にはすぐに見破られてしまいます。ただ字面を音読しているだけでは伝えることはできません。いわば左脳の作業ですね。しかし朗読において大切なのは、その人物の気持を表現できるか、どんなことを意図して間を取るか、という右脳の作業です。私自身、朗読をしていると、『ニュースのときと声が違う』と驚かれることがあります」  母校・東京女子大学で非常勤講師も務め、日頃から学生たちと接している橋谷氏。若者の活字離れを肌身で感じる立場で、書籍を主体としたカフェをオープンさせたのは、こんな思いがあるからだ。 「大学生に『月に何冊くらい本を読む?』と聞くと、『読んでません』という回答はさほど珍しくなくなりました。現代の娯楽の中心はスマホであり、その楽しさや利便性を私は否定しません。人生の一時期において、スマホで活字を読んで情報を得て……という時間があっても良いと思います。ただ、1冊の書籍には、多くの人たちの知恵も経験も人生観も凝縮されています。しかも多くの場合、さほど高くない金額でそれを享受できます。年齢を重ねていき、自分のなかに軸が欲しくなったとき、頼りにするのは書籍であってほしいと私は思います。このCOTOCOTOは、大人がひとりでふらっと立ち寄って、多くの書籍に囲まれて自分と向き合える空間にしたいと思って作りました」
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今後の野望は…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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【イベント情報】 2024年1月14日(日)15時~と17時30分~の2回公演で、年明け第一弾の朗読ライブを開催します。チェロ奏者の新井みつこさんとバイオリン奏者の五十嵐歩美さんとの共演です。イベントの詳細、ご予約についてはCOTOCOTOホームページをご覧ください。
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