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主要先進国はなぜパレスチナへの資金援助を見直したのか。“間接的なテロ支援”とする主張の背景

日本にアジア初のUNRWA拠点という計画も

『ハマス・パレスチナ・イスラエル』

イスラエルとパレスチナの間に設けられた分離壁

 このEUのパレスチナ支援見直しの中にUNRWAへの支援が含まれているのかどうかはわかりませんが、人道的であるはずのパレスチナ支援が、最終的にはテロ促進、テロ支援に帰着していることが多いという問題は、すでに明らかになって久しい。  日本はこのUNRWAの最大の支援国の一つです。毎日新聞の「UNRWA、アジア初の拠点を日本に設置へ パレスチナ難民を支援」(2023年9月16日)という記事にあるように、これまでの支援額は10億ドル(約1470億円)を超える。  この記事にあるように、近くアジア初のUNRWA拠点が日本に設置されることがわかっています。  日本には、EUのようにUNRWAで行われているテロ教育を問題視し、UNRWA支援を見直すよう迫るような論調は一切ありません。  UNRWAには汚職の問題もあります。日本では、それについてもほとんど報じられない。だから、UNRWA支援が見直されることがないわけです。UNRWAとしては、日本ほどちょろくておいしい国はありません。(編集部注:その後、日本政府も2024年1月28日、UNRWAへの資金拠出を一時的に停止すると発表しました)

UNRWAを長年支援してきた日本

Jose Hernandez

イスラエル、テルアビブの通称「人質広場」。ハマスに捉えられた人質の写真が掲示されている(写真/Jose Hernandez)

 私が『アベマプライム』というインターネット番組に出た時、そこで元NHKアナウンサーの堀潤という人が、日本国としては市民の人たちをどう支えるか一致団結して考えるのがすごく大切とか、日本はとにかくパレスチナの市民と連帯を云々と主張し、その中で、日本は長年、UNRWAを支援してきてすごいんだみたいなことを言っており、「出たな」と思いました。  UNRWAにカネを出すことで国際的義務を果たしている、自分たちは「弱者パレスチナ」に寄り添っていると自己満足に浸る。  そういう人たちが、パレスチナ発展の足を引っ張り、ハマスを増長させてきたという、そういう側面があることを、私はこれからも伝えていきたいと思っています。
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岸田首相以外のG7首脳が「テロを非難」する中、日本は?
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1976(昭和51)年東京生まれ。イスラム思想研究者。麗澤大学国際問題研究センター客員教授。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野博士課程単位取得退学。博士(文学)。『ニューズウィーク日本版』、産経新聞などで連載中。著書に『中東問題再考』『イスラム教再考』(以上扶桑社新書)、『エジプトの空の下』(晶文社)など。

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ハマス・パレスチナ・イスラエルーーメディアが隠す真実 ハマス・パレスチナ・イスラエルーーメディアが隠す真実

ハマスの“弱者は正義”戦略を暴く!!

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