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『北の国から』『鉄道員』の聖地も営業終了。「根室本線」の廃止区間を巡ってみた

金山駅

金山駅

金山駅。保線基地があり、多くの作業員が働いていた

 下金山駅の南約7㎞の場所にある金山駅(南富良野町)は、今回の廃止区間の中では山部駅と並んでもっとも古い1900年の開業。豪雪地帯らしくトタン屋根が大量の雪で覆われた平屋の木造駅舎は、昔ながらの北海道の田舎駅といった雰囲気だ。
金山駅

雪深い山間の秘境駅で撮り鉄にも人気

 ここには冬季は線路や駅などの除雪業務を担う保線作業の基地が置かれている。隣には2階建ての事務所があり、駅舎よりもずっと大きい。駅周辺で作業員たちが除雪作業をしていたが、それでもこの冬は大雪で運休になる日も珍しくなかった。
金山駅

冬場は厚い氷に覆われる沿線のかなやま湖

 真冬でもこうして来ることができたのは極寒の中、作業を続ける彼らのおかげでもあり、そう考えると頭の下がる思いだ。

東鹿越駅

東鹿越駅

かなやま湖の湖畔ある東鹿越駅

 金山駅を過ぎると、列車は大きな人造湖かなやま湖に沿って終点の東鹿越駅(南富良野町)を目指す。ちなみに真冬の時期は湖が厚い氷で覆われ、沿線の車窓の中でも見どころとなっている。
東鹿越駅

東鹿越駅に停車中のキハ40系

 湖畔に建つこの駅は、戦時中近くの石灰石鉱山からの運搬用に根室本線と分岐する信号場が設けられ、仮乗降場を経て1946年に正式な駅に昇格。しかし、11~15年の1日の平均乗車人数は1人以下。当初は17年3月で廃止となる可能性もあったが、16年8月の台風で同駅から先の区間が不通となったことで列車と代行バスの発着駅という重要な存在となった。
東鹿越駅

新得駅行きの代行バス

 駅周辺には何もないため、下車する乗客は基本的に全員が代行バスに乗車。休日や平日昼間だと鉄道ファンばかりだが、この日は平日朝の始発便だったので途中にある高校に通う学生の姿も。鉄道ファンの利用しかない路線だと思い込んでいたが、地元の人にとっても貴重な足になっていたことを改めて知った。
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『鉄道員』の舞台となった駅
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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