ニュース

『北の国から』『鉄道員』の聖地も営業終了。「根室本線」の廃止区間を巡ってみた

幾寅駅

幾寅駅

駅舎の看板は劇中で使われた『幌舞駅』のまま

 代行バスは8分ほどで最初の幾度駅(南富良野町)に到着。ここは高倉健晩年の代表作『鉄道員』(99年公開)の舞台となった駅で、昔ながらの木造の駅舎には劇中で使われた“幌舞駅”の看板がそのまま残されている。
幾寅駅

展示されているのは、映画で実際に使用された列車

 駅構内の待合室以外の部分は「ロケーション記念展示コーナー」として撮影で実際に使用された駅事務室のセットが当時のまま保存されており、ほかにも撮影で使用された衣装や小道具、出演者たちの直筆サインなどが飾られている。
幾寅駅

不通区間なので線路の除雪も行われていない

 列車が来なくなって久しいので線路は雪でまったく見えなかったが、雪が舞う中ホームに立てば気分は健さん。幾寅駅を訪れる前、久々に鉄道員を観たこともあり、テンションが上がってしまった。

落合駅

落合駅

現在は待合室のみが開放されている落合駅

 そして、廃止区間でもっとも新得寄りに位置する最後の駅が落合駅(南富良野町)。この先には北海道でも有数の峠として知られる狩勝峠があり、もともとはそれを越えるために機関車が多く配置されていた根室本線の重要駅だった。
落合駅

落合―新得間には狩勝峠があるため、昔は難所だった

 不通になった16年以降は、ホームや跨線橋などへの立ち入りは禁止(※待合室のみ利用可)。だが、駅前からでも外観は十分に堪能できるので特に問題はなさそうだ。
落合駅

不通になって以降、ホームは立入禁止のまま

 調べたところ、この駅は00年に日本でヒット曲を連発した韓国人女性歌手BoAの代表曲『メリクリ』のPV撮影に使われた場所らしい。後で映像を見たが、できれば列車が運行している頃にもう一度来たかったものだ。 =====  以上の根室本線の廃止区間の7駅は、列車と代行バスが運行される31日まで訪問可能。列車だけで一度に複数の駅を訪れるのは難しいが、旭川―帯広を結ぶ都市間バスのノースライナーやふらののバス西達布線、占冠村村営バスを上手く活用することで効率よく回ることができる。  春休みを利用して、まだ雪深い北海道のローカル線と駅に最後の別れを告げるのもいいかもしれない。 <TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
1
2
3
4
おすすめ記事
ハッシュタグ