更新日:2024年12月16日 15:38

慶應大の彼氏が遺産1500万円をスポーツ賭博で溶かし、自分の口座からも勝手に110万円を使われた女性21歳の告白/[スポーツ賭博にハマる]最新事情

「自分はギャンブル依存症」――。大谷翔平選手の銀行口座から巨額の不正送金が発覚し、元通訳の水原一平氏はこう告白した。そのギャンブルというのが、スポーツ賭博。違法にもかかわらず日本でも流行している!?

彼氏はまるで“水原一平”!? 奪われた110万円

[スポーツ賭博にハマる]最新事情

篠原翔子さん(仮名・21歳)

「私、“プチ大谷翔平”じゃん!?」  篠原翔子さん(仮名・21歳)は、例の水原氏のニュースを見たとき、そう思わずにはいられなかった。数日前に別れた慶應義塾大学に通う彼氏に、自身の銀行口座から勝手に送金されるなどして、計110万円以上を奪われたのだ。 「彼は、交際当初からスポーツ賭博に興じ、常にスマホから目を離せない様子で、メジャーリーグのほか、オフシーズンのときはテニスやバスケにも数万円単位で賭けていました」  交際して1年が経過したころ、約30万円の現金やパソコンなどが盗まれる空き巣被害が発生。その後、自宅で財布から数万円単位の現金が抜かれる被害も起き、彼の手癖に不信感を募らせていった。 「彼を問い詰めたら、祖父からもらった遺産1500万円をギャンブルで溶かしたと白状したんです。二度とスポーツ賭博はしないと約束して彼を更生させようと誓いました。 なのに1か月後、自分の口座から彼の口座への身に覚えのない約34万円の送金履歴を見つけて、彼の口座履歴を確認すると、即時にスポーツ賭博の決済代行会社に入金されていたんです。 もう私の手には負えず、別れを決めました。後日、ギャンブル依存症の通院歴が発覚。先日、警察に被害届を出したところです」
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彼氏の口座履歴

「スポーツ賭博が違法だとは知らなかった」という篠原さん。彼氏の口座履歴をみたら、知らぬ間に自分のPayPayが送金され、即時にスポーツ賭博会社へ入金されていたという。  スポーツ賭博の合法化には大反対だそうだ。

相談者が年々増加しているスポーツ賭博依存症の闇

 渦中の水原氏が告白したように、ギャンブルの恐ろしさはその“依存性”にある。ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表は、「日本でもスポーツ賭博依存が顕在化してきています」と危惧する。
「’21年頃から相談数は徐々に増加しています。スポーツ賭博依存者の特徴は、若者とスポーツ経験者に多いこと。以前も、親のお金を数百万円使い込んでしまった高校生が親と相談にきました。若いうちにギャンブル依存症になると、たとえ回復しても社会スキルを身につけるのは困難です」  また、スポーツ賭博はオンラインでできることも依存に拍車をかけるという。 「24時間スマホでできるスポーツ賭博は、営業時間の制限があるパチンコや競馬などと違って症状が進行しやすく、早ければ2~3年で発症します。しかも、クレジットカードが利用できるため、枠内で限界までお金を使ってしまう」  では、日本の依存症対策はどうなのか。 「公営ギャンブルを認めていながら、その収益から依存症対策費を出してないのは先進国で日本くらい。日本は世界的にギャンブル依存症者が多い国とされています。海外では合法化とギャンブル依存症対策は必ずセットです。合法にして管理すればいいという意見がありますが、今の体制では合法化が依存のゲートウェイになるだけ。依存者が激増するのは目に見えています」  依存症対策として絶対にやってはいけないことは、「家族や周りの人が借金の肩代わりをすること」だという。 「体に症状が出るお酒や薬物と違い、回復のターニングポイントはお金しかありません。もう嫌だと実感する『底突き体験』をしなければ当事者は気づけないのです」 [スポーツ賭博にハマる]最新事情 その上で、田中氏は政府に依存症の啓発を行うことを強く訴えかけているという。 「ギャンブル依存症は性格に関係なく誰しもがなりうるものですが、一般に『不真面目な人がなるもの』という固定観念があります。それを払拭するためにも、政府主導による啓発活動が不可欠です」  一番の対策は、ギャンブルに手をつけないことなのだ。 【田中紀子氏】 ギャンブル依存症問題を考える会代表。ギャンブル依存症当事者・家族の支援に注力。政府へ政策の提言も行っている。著書に『ギャンブル依存症(角川新書)
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田中紀子氏

取材・文/週刊SPA!編集部
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