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「退職代行も使えない」うつ病で休職中の中学校教員が語る“定額働かせ放題”の実態

盗撮した生徒さえ“怒れない”ストレス

怒れないストレス

※画像はイメージです

 時間的な拘束に加えて、時代に合わせ多様化してく業務も島田さんを苦しめた。 「GIGAスクール構想という『生徒一人に対して一台タブレット端末を支給する』という文部科学省の取り組みがあります。構想自体は立派ですが、文科省からは端末が送られてくるだけ。生徒全員分のタブレットに保護フィルムを貼っているときは気が狂いそうになりました。  また、生徒がタブレットで盗撮したり、投げて壊したり…よく問題になっていました。ベテラン教員はめっぽう機械に弱くて、『若い人がやって』と知らん顔。生徒たちの方が詳しくて、昭和生まれの教員はバカにされています」  上記のような悪事を働いたり、態度が悪い生徒に「怒る」ことさえできないと島田さんは続ける。 「学校の基本方針は『怒る』ではなく『諭す』でした。私が子供のころは叩かれたり叱られたりして終わりでしたが、今は少しでも声を荒げようものならすぐに学校にクレームが入ります。『諭す』というのは時間がかかるし、その姿勢を舐めてくる生徒もいます。とにかく、根気がいる指導法です」

あまりの忙しさに転職を考えるも…

 島田さんは多忙を極め、ついには授業の準備さえ満足にできなくなる。仕方なく、何度か「やっつけ授業」をしてしまうこともあった。 「高校生の時、尊敬できる先生の授業おかげで、苦手だった英語を好きになれたことが教員を志したきっかけでした。最も注力すべき授業に向き合えていないと感じてから、歯車が狂っていった気がします。もう一度教壇に立ちたい気持ちはありますが、今の環境のまま戻ってもうつ病が再発すると思います。  転職を考えていますが、今の精神状態だと辞表を出しに行くのもしんどい。退職代行会社に相談したら『教員は労働基準法の適用外なので、サービスの対象外です』って言われて驚きました。つくづく、自分がいる組織は普通じゃないんだって実感しましたね」  文部科学省は残業に対する手当を基本給の4%から、10%以上への引き上げを検討していると報じられたが、基本的な「定額働かせ放題」の枠組みは変わらない。”普通じゃない組織”の形態は続いていく。 取材・文/日刊SPA!編集部
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