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「生徒のために頑張るほど、自腹が増える」29歳女性教師の嘆き。公立校の予算が使いものにならないワケ

 教員不足が叫ばれる昨今だが、学校現場では「教師の自腹」という問題も深刻化している。多忙な日々のなかで自らの財布を開き、授業や部活で足りないものを補う先生たちを直撃。一般企業では考えられない、教師の世界が抱える独特の金銭問題とは?

年間自腹額10万円…工夫するほど自腹増で「働くほうが給与は減る」

公立小学校教師・村上麻美さん(仮名・29歳)
[教師の自腹]残酷な現場ルポ

卒業式に出席する袴姿の彼女は“いい先生”そのものだ

 教員になって7年目の村上麻美さん。「これは生徒のためになっているのか?」と懐疑的なのは授業外での自腹だ。 「6年生を担任した若い女性の先生は、卒業式に袴を着る風潮があるんです。私は貸衣装代に着付け、ヘアセット代で総額3万円ほどかかりました。年末になればクラス全員に年賀状を送るのが恒例。正直、このあたりは保護者やベテラン先生の顔色を窺ってやっている部分が大きいです」

生徒を思うほどに増えていく自腹

[教師の自腹]残酷な現場ルポ

児童のために準備したシールやレターセット

 週末にマラソン大会に出場する生徒がいれば応援に駆けつける。もちろん交通費は自腹。急な自腹を求められるのは、授業においても同様だ。 「工作の授業で児童が家庭から材料を持ち寄る場合、量や質の差が出たり、材料を忘れる子がいたりするので、手芸モールやハギレ、ビーズを私も慌てて買いに走る。家庭で用意してもらう材料などは、基本的に学校で予算は組まれてないんです」  自腹に頼らず、学校の予算を活用できないのだろうか? 「公立では基本的に立て替え精算ができない上、申請は前年度中にする必要がある。新年度が始まってから授業計画を組むことを考えると現実的ではありません。昨年は体育で棒高跳びを怖がる子がいたので、あたっても痛くないゴム紐や、その固定具などを自腹購入して工夫しました」  いい先生を目指すほど、自腹負担が増えていくことに、今も彼女は葛藤している。 [教師の自腹]残酷な現場ルポ
[教師の自腹]残酷な現場ルポ

※取材で得た事例を基に、教育行政学者・福嶋尚子氏監修のもと作成

取材・文/週刊SPA!編集部
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