仕事

「暑くて臭くて死にそう」トイレ清掃員の過酷な労働現場。大便のついたトイレットペーパーが汚物入れに入っていることも

ウンチがついたトイレットペーパーが散乱

 最も困るのは、6階の女子トイレだ。特に汚物入れにトイレットペーパーにウンチがついたものがつっこまれている時。清掃の所長によると、「多くはアジアやアフリカからの留学生」らしい。アジアやアフリカのある国々の留学生がよく利用する階のトイレで目立つのだという。ほかの階のトイレでは少ない。  15年程前からこの大学への留学生が増え、現在は全学生の約3割になっている。6~8割はアジアやアフリカ諸国だ。大学の職員が清掃の所長に話したところでは、アジアやアフリカからの一部の留学生の母国の下水道事情は日本に比べると問題が多く、トイレに流すとペーパーがつっかえるらしい。そこで、汚物入れにつっこんでいるようだ。  汚物入れは、血をたんまりと吸い込んだ生理用品とウンチがついたトイレットペーパーであふれかえり、周辺に散乱する日もある。小林は「留学生なりに気を使い、汚物入れに入れているのかもしれないが、生理用品とウンチの臭いと暑さで、気が変になりそう」とこぼす。四つん這いになり、ビニール手袋でつかんだスポンジでウンチがついたタイルをふく。タイルを傷つけないようにしながら、ウンチをとるのが大切なのだという。  小林が話す。「ウンチが残ったままだと、見回りに来る大学職員が所長に苦情を言う。今度は、所長がパート社員に指摘する。苦情が繰り返されると、パート社員を辞めさせる」

ウンチまみれの女子トイレ

トイレ 6階の女子トイレでは、ウンチが便座や便器の周辺に飛び散っている時もある。小林は、つぶやく。「どういうスタイルで座っているんだろう。便座にまたがったり、足を乗せたりしてウンチをしているのかな」。横の壁に飛び散っている時もあった。なぜか、下のタイルのところどころにパンの食べかすが落ちている。小林は「便器に座り、食べているのかな」と話す。  ウンチを流していないこともあった。女子トレイではあるが、太くて、長く、しかも黒々としている時が多い。男子のトイレよりも大きい場合もあった。便器についたものは取っ手のついたブラシでこすり落とす。それでも落ちない時、ビニールの手袋をしてこすりはがす。  出入り口付近に手を洗うところが5つあり、その前にあるのが大きな鏡だ。ここに、口紅で文字をうっすらと描いた跡が残っている。小林は「アジアやアフリカの国の言語みたい。異国の地でさびしいのかな」とつぶやく。
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納豆とかん腸、ウンチがミックスされた臭い
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1977年、神奈川県生まれ。全国紙の記者を経て、2022年よりフリー
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