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フィリピンの水上スラムで“救われた”28歳男性の恩返し。今では「日本人を歓迎してくれる環境」に

初期投資の回収は「6ヶ月〜12ヶ月以内に立つ見込み」

バジャウ村

バジャウ族が作った真珠アクセサリー。筆者も購入した

 集客数と売上は順調に伸びており、売上は月の最高で15万円ほどになった。バジャウ族には売り上げの約50~70%を還元している。 「現状は全然赤字ですが、初期投資の回収は6ヶ月〜12ヶ月以内に立つ見込みです」  現在はセブ島を離れて、オーストラリアに在住していながら、SNSを中心にオンラインで集客し、バジャウ族とやりとりして運営している。 「ネットの予約受付を僕がやっていて、ツアー参加や宿泊希望のメッセージが来たら、日にちや時間を確認し、バジャウ族にメールで連絡。バジャウ族たちには、ベッドメイキングや清掃、当日の現場やツアーのガイドなど現場仕事を、基本的にすべて任せていて。また僕の活動を好意的に思ってくれるセブ在住者や日本人の友人が、現地でボランティアとして手伝ってくれています」

ゲストハウスを起点に「支援の輪が広がることを期待」

 ゲストハウスが、バジャウ族の生活基盤になっている手ごたえを感じているようだ。けいすけさんは、今後の展望をこう話す。 「ゲストハウスを起点に、知名度があがってバジャウ族への支援の輪が広がることを期待しています。実際、今年からはツアーと周辺の語学学校とのコラボによって、毎月炊き出しをしたり、留学期間を終えて不要になった生活用品を村人に提供したりしています。いずれは入村料についても改善できたらと。入村料300ペソというのは、他の観光地のエントランス料と比べて高価で、しかも村長が独占している状況なので、当初から問題に感じていました。この件は解決するのは長期戦になりそうなので、今はゲストハウスとツアーを効率的に運営し、実施回数を増やして、村民に少しでも多く経済的に還元していきたいです」  どうしても近寄りがたいスラム街だが、これほど日本人を歓迎してくれる環境は、他にないだろう。バジャウ族と出会うことで、世界の貧困や環境問題を自分ごととして考える機会にしたい。 【けいすけ】 1996年生まれ。京都出身。オーストラリア在住。2016年のセブ留学中に詐欺師から全財産を盗られ、その後バジャウ族の家に1ヶ月居候生活をする。その生活を通して、バジャウ族との親交が深まり、セブ島のバジャウ族の村に帰国後も頻繁に足を運ぶようになる。現在は、バジャウ族と一緒に観光客が楽しめるゲストハウスとツアーを経営している。公式サイト「バジャウゲストハウス&ツアー」 <取材・文/ツマミ具依>
企画や体験レポートを好むフリーライター。週1で歌舞伎町のバーに在籍。Twitter:@tsumami_gui_
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