「朝晩ほとんど歯磨きをしなかった」40代男性に訪れた悲劇。歯科医師が教える“歯磨き”の重要性
皆さんは全世界で最も蔓延している感染症は何だと思いますか? 実は様々な全身疾患を抑えて“歯周病”が最も蔓延している疾患だとギネスブックに認定されています。
歯周病はお口の中の症状のみに留まらず、糖尿病やメタボリックシンドロームなど、多くの全身疾患との関連がある恐ろしい疾患です。そして歯周病は治療によって急に完治できるものではなく、生活習慣病と同じように日々の生活や歯磨き、歯科医院での専門的な管理によって進行を抑えながら長く付き合っていかなければなりません。
歯と歯の間はどんな歯ブラシを用いても清掃することができません。物詰まりが気になった時だけフロスや歯間ブラシを使用している患者さんも多いのですが、毎日行う必要があります。フロスも歯間ブラシも歯間両側の歯の表面をゴシゴシと磨くことがポイントです。
また、歯間清掃は歯磨きの前に行うことでより清掃効果が高まるもの。歯間清掃は歯磨きと一緒に習慣づけましょう。
生まれ持った天然の歯と違い、被せ物や詰め物などの治療跡のある歯では歯磨きの難易度は基本的にあがるものです。被せ物と歯の境目は磨き残しやすく、また被せ物の材質によっては歯垢(プラーク)が付きやすいものもあります。
たとえば、ブリッジ(歯の欠損を補い連なった被せ物)では通常のフロスが通らず、清掃が疎かになりやすいため、スーパーフロスや歯間ブラシを用いた丁寧な清掃の継続が重要です。
インプラントでは通常の歯周病と異なりインプラント周囲炎が生じる恐れがあります。このインプラント周囲炎も歯周病と同様にセルフケアの徹底が重要となりますが、一度罹ってしまうと歯周病よりも進行予防がより難しいです。
今回は歯周病予防には最重要であるオーラルケアについて基本的なポイントを事例とともにまとめました。
歯間清掃は毎日行うもの
治療した歯が多いほど歯磨きの難易度はあがるもの
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari
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