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「若者の5人に1人は朝の歯磨きをしない」コロナ禍で進行する歯周病の恐怖

コロナで歯磨きをしない若者が急増!?

 昨年4月のコロナ以降、日常の様々なシーンが変化している。特に大きな変化は仕事のリモート化によって、外出の機会が減ったことである。そのなかでも、まだ注目されていないコロナ禍における弊害が、歯磨き頻度が減ったことによる歯周病についてだ。  日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会は11月8日の「いい歯の日」に合わせ、「マスク習慣と歯ならびに口腔ケアにおける意識および行動調査」を20代~70代の男女7766名を対象に実施したところ、「20〜30代の若者の5人に1人が朝に歯磨きをしない」という結果が出たのである。これは在宅ワークが増えたこと、そして外では常にマスクをつけることで、見た目や口臭を周囲に気にされにくくなったことが要因と思われる。
歯磨き

日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会が行った20〜70代の男女7766名を対象に行ったアンケートより

 たかが歯磨きと思うなかれ。歯磨きをしないことで歯周病になって引き起こされる弊害は、数年先に爆発する時限爆弾のようなもの。日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会の2学会を代表し、日本歯周病学会の理事長であり、日本大学松戸歯学部の学部長である小方賴昌氏に、歯を磨かないことによる危険性についての話を伺った。
小方賴昌

日本歯周病学会の理事長であり、日本大学松戸歯学部の学部長である小方賴昌氏。小方氏は夜、入浴しながら15分掛けて歯磨きをするのだとか

朝も大切だが夜の歯磨きはもっと大切

歯磨き

写真はイメージ

 若者の約5人に1人が朝に歯磨きをしないとの結果が出たことも衝撃的であるが、そもそも歯磨きは朝と夜の歯磨きはどちらの方が重要なのだろうか。 「夜ですね。寝ている間は唾液がほとんど出ません。そうなると口の中で菌がどんどん増えていくんです。だから寝る前に菌を少しでも減らしてから寝た方がいいのです。もちろん、朝の歯磨きも重要ですが、夜のほうがより重要になります」  歯を磨かないと歯周病などの病気になりやすいとよく言われるのだが、そもそも歯周病とはどのような病気で、何が原因で患ってしまうのだろうか。 「歯と歯肉の間の『歯肉溝、歯肉ポケット、歯周ポケット』と呼ばれるところで常在細菌が増えて細菌塊(プラーク)になると、プラークに対する生体の免疫応答として、炎症がまず歯肉に、引き続き顎の骨(歯槽骨)や歯の根と歯槽骨を繋ぐ歯根膜にも広がります。  これが歯周病(歯肉炎(炎症が歯肉に限局)と歯周炎(炎症が歯周組織に波及した場合)ですね。ただ個人差があって、その人その人の免疫機能が違うので、必ずしもポケット内で菌が増えると歯周病になるとも限りません。他にも基礎疾患があったり糖尿病を患っていたり、タバコやストレスなんかも歯周病が進行してしまう原因になるので、個人差はかなりあります」  とにもかくにも歯周病の予防はプラークを減らすことが大切だと小方氏は言う。プラークを減らすためには、歯磨きが必要ということなのだ。
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歯周病は全身に影響する!?
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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