さまざまな男女の愛情と欲望が常に入り乱れる非日常空間・ラブホテル。そこで働く従業員は、カオスな人間ドラマを目撃することも少なくない。
今回は、福岡の繁華街のラブホテルで、ベッドメイクとフロント業務を5年間続けた
天野翔子さん(仮名)が、1年目の新人時代に犯してしまったミスが発端となった、ある夫婦の修羅場話だ。
一本の電話が悲劇の始まりだった
※画像はイメージです。以下同
これは天野さんがラブホテルのフロント業務を始めたばかりの1年目当時のエピソード。
「当ホテルではメンバーズカードを部屋で販売しており、それを自動精算機に入れると利用料金が10%割引されるシステムがあるんです。また、カードごとの番号で累積のポイントや利用料金、利用日などもデータとして蓄積され、フロントのパソコンで管理できるようになっています」
事の発端は、一本の電話だったという。
「ある日、私がフロント業務をしていると女性から電話がかかってきたんです。『メンバーズカードの有効期限っていつまでですか?』と尋ねられ、私は『最終利用日から1年です』と答えました。
すると女性が
『最終利用日がいつかわかりますか?』と聞いてきたので、カード番号を伺ってパソコンに入力して検索をかけ、出てきた日付を伝えたんです。女性からは丁寧にお礼を言われ、そのまま電話は切れました」
よくある問い合わせ内容だったため、天野さんは特に気にも留めなかったそうだが……。
その数日後、平日の昼下がりに事件は起きた。
「オーダーされた料理を作っていると、フロントの電話が鳴りました。電話に出ると、
『205号室の連れの者です』と女性の声がします。当ホテルでは、カップルの待ち合わせや、夜のお姉さんの“デリバリー”利用の場合も多く、時間差で女性が入室することは珍しくありません。
ですから私は205号室に電話をして、『お連れ様が起こしになりましたのでお通しします』と伝えました。料理を作っている途中というのもあり急いでいた私は、電話口の男性が答える前に電話を切り、205号室の鍵を解除してしまったのです」
そのあとすぐに205号室から電話がかかってくるが、時すでに遅し。……修羅場に突入してしまっていた。
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。興味のあるジャンルは映画・ドラマ・舞台などエンタメ系全般について。美味しい料理店を発掘することが趣味。
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