“ワケあり”専門の不動産屋に聞く、賃貸契約のウラ側。「審査に落ちる人」が利用する“アリバイ屋”とは
今夏の配信開始から人気の衰えないNetflixの『地面師たち』。不動産業界の広さと深さに衝撃を受ける作品だが、もちろん地面師以外にもワケあり不動産関係の企業は多く存在している。ナイトワーカーをメインにするワケあり不動産屋を経営するA氏(30代後半)に話を聞いた。
A氏が経営する新宿区にある不動産屋には、水商売・風俗・ホストをはじめ、非正規雇用者(バイト・派遣)や芸能界を目指す人にスタートアップ企業の社長など、賃貸契約がしにくいとされる人たちが駆け込む。
「20代前半で高利貸しの世界に飛びこみ、後に不動産業の扉をたたき、それから13年携わってきました。メイン事業の傍らで細々と賃貸物件の紹介業も行ない、ナイトワーカーたちの賃貸契約の経験やノウハウが身についてきたので、こちらに本腰を入れることにしました」
A氏がナイトワーカーたちの賃貸契約に自信がある理由は、アリバイ屋を利用しているためだ。アリバイ屋とは何をする会社なのか? ここで少し整理しよう。
一般的に賃貸を探す時は不動産屋で物件を紹介してもらい、内見をして気に入ったら申し込みへと進む。次に、保証会社等の審査を受けて、通れば晴れて契約へとなる。
しかし、前述した賃貸契約がしにくい人たちは、保証会社の審査で落ちることが多々ある。そこで登場するのがアリバイ屋だ。
「物件によっては、ナイトワーカーの審査を受け付けている場合と受け付けていない場合があるため、後者だとアリバイ屋を利用することになります。そして、アリバイ屋がお客様の属性や希望にあった仮の会社を用意して、その会社に在籍する会社員ということで契約するんです」
提案するのは、アリバイ屋が提携している実在する会社だ。利用者の特技や趣味、また引っ越し先のエリアに合わせて選ぶ。仮に美容に詳しい人なら美容系の会社、新宿に引っ越したい人なら新宿近辺にある会社といった具合だ。会社の規模から選ぶこともできる。
なんともグレーな商売だが、A氏によると東京都内にアリバイ屋は複数存在し、また必要とする人も後を絶たないという。警察からは、「必要悪として黙認されている」と推測している。
「警察も、アリバイ屋がいないと引っ越しできない人がいると知っているのでしょう。僕自身は職業に対する差別はありませんが、どの業界でも、どうしようもない人や変わった人は一定数いると思いますが、それが夜の商売だと、より目立ってしまうんです。世間からも冷たい目で見られやすく、その結果として賃貸契約がしにくくなっているのが現状です」
“ワケあり”専門の不動産
裏ワザに必須なアリバイ屋とは
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