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“スラム団地”で育った多国籍HIPHOPグループが伝えたい「差別や貧困のリアル」暴力や犯罪に明け暮れた過去を経て

「差別はなくならない。俺らのリアルを誰かに伝えたい」

突撃ルポ[不良外国人の自宅]日系ブラジル人のBARCOは、「俺らは外人だから選べる仕事も時給も限られてる。すべてはカネがなかったから」と言葉を吐いた。 そのやり場のない気持ちをラップに昇華した。 「社会からの逃げ場が薬物になって、最後は団地から飛び降り自殺した知り合いもいます。差別はなくならない。俺らのリアルを誰かに伝えたい」 音楽活動も軌道に乗りつつあるが、メンバーの全員が生活のために非正規で働いている。日系ブラジル人の双子(兄のFlight-Aと弟のSwag-A)は建設業の会社を立ち上げている。Flight-Aが言う。 「俺らは遠征ライブの翌日でも必ず遅刻せず、朝から現場で汗を流すんだ。現場の連中が“お前ら外人だろ?”ってナメてくるなんてザラだよ。だから俺たちの腕前や働きぶりを見せつけてやるんだ。そうすると、最後にはみんな認めてくれる」

「テキトーに生きるな」という親の言葉

小学校の卒業アルバムを見ながら、ACHAは言う。
突撃ルポ[不良外国人の自宅]

昼食の残りだというACHAの母親特製カレー。クルーにも好評

「親には『日本人は私たちを受け入れてくれている。だからテキトーに生きるな』と言われて育ちました。だから、音楽も仕事も真面目にやって、今の子供世代の手本となる背中を見せてやりたいですね」 取材後、団地から近い彼らの行きつけの定食屋で、一緒に乾杯した。音楽や恋の話を熱心に語る姿は日本の若者と変わらない。会計に向かうと、ACHAが駆け寄り、「今日はありがとうございました」と笑って、ご馳走してくれた。 「団地に生まれたことを憎む日もあった」という。過去をチカラに変え、今と向き合う彼らの姿に希望を垣間見た。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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