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「趣味:刑務所見学」異色のグラドルが受刑者との文通を始めたワケ。「犯罪者を甘やかしている」という批判について思うことも

ファンレターがきっかけで受刑者との文通を開始

緑川ちひろ

文通で“専門用語”を知ることは多々ある

 あふれんばかりの“刑務所愛”は、こんな形で成就する。 「雑誌の『実話ナックルズ』さんで私が刑務所に関するコラムを書いていたら、受刑者の方からファンレターが届きました。そのときは本当に嬉しかったですね。それがきっかけで、受刑者の方との文通が始まりました。肉筆によるやりとりなので、そのときの相手の感情がみえる感じがして、さまざまなことを考えさせられます」  受刑者と手紙をやり取りすると、こんな“ミニ知識”が次々に舞い込んでくるのだという。 「刑務所のなかで使われる独特の用語があって、一般社会ではわからないものも多いです。たとえば私が文通をして初めて覚えた刑務所用語は、『ガルウィング』ですね。これは、逮捕・連行されるときに羽交い締めにされて連れて行かれる様子を指したものだそうです。興味深いのは、刑務所や拘置所でみんなが楽しみにしている食事の話です。いろいろなアレンジをして食事を楽しんでいるらしくて。たとえばきな粉を水で伸ばしてパンに塗ったり、味噌汁にかっぱえびせんを入れてお麩のような食感を味わっていると教えてくれました」

批判の声について思うこと

 知られざる刑務所の内情。究極の“小ネタ”だが、受刑者たちの息遣いが聞こえてきそうでもある。こうした活動について、SNSなどを通して批判の声が寄せられることもあるのだと緑川さんは話す。 「最初に見てしまったのは、ある媒体の取材を受けたとき、SNSで告知をしたところに書かれたコメントでした。犯罪者を甘やかしているのではないか、という内容が批判の主なものです。私は犯罪行為を擁護もしないし、犯罪者を甘やかした事実もありません。ただ、一度過ちを犯した人を社会全体で排除しようとするのはどうなのだろう、という気持ちはあります。もちろん、被害に遭われた方が怒ったり許せないと考えたりすることは理解できるところです。しかし第三者の私たちまで冷静さを失って叩いてしまえば、更生できる人もできなくなってしまいます」
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更生することは、本人のためだけでなく…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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