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「THE W」、下ネタより気になった“無理に褒める審査員”の存在…「むしろ女性芸人に悪い印象を与える大会」と思うワケ

“無理に褒める審査員”とM-1とのコントラスト

 THE Wを見て最も気になるのは、ネタ終了後の審査コメントだ。「女芸人No.1決定戦」と銘打っているわりに、良いものはいい・悪いものは悪いと本当のことを言う審査員がいないのだ。無理に褒めるところを絞り出しながらコメントを発しているし、負けた側を気遣って「どちらも僅差でした」とフォローすることが常。  これが、どうにもつらい。「出場者が未熟で弱い存在だから、悪く言うことはできない」と暗に言っているようなもので、見ていてすごくしんどいのだ。  あまりに酷評をして、出場者の今後にネガティブな影響を与えたくないのか? 相手が女性だから、炎上を恐れてキツいダメ出しをしないのか? 特に、男性審査員が女性芸人にビシッと言ってしまうと面倒くさい事態になりかねないのは事実。だから、「どちらもおもしろくて迷いました」というぬるいコメントが頻発した。  しかし、このモヤモヤは「審査員に気を遣わせるような芸はどうなのか?」と視聴者に悪い印象を与えかねない。大会自体の説得力を弱めている。 『M-1グランプリ』で審査員を務めた立川談志や上沼恵美子、現役審査員でいえば中川家・礼二らの直言と比べると、このコントラストはあまりに大きい。

低視聴率の原因は、平日放送だから?

 2024年のTHE Wは世帯視聴率が6.6%、個人視聴率は4.1%だった。ちなみに、2023年大会は世帯視聴率が8.2%、個人視聴率は5.3%である。どうやら、2024年大会は歴代最低の視聴率になってしまったようだ。  理由をいくつか挙げることができるが、火曜日という平日に放送されたことはやはり大きいだろう。土曜日の日テレは21時からドラマが2本放送されており、日曜日は『ザ!鉄腕!DASH!!』と『世界の果てまでイッテQ!』が無類の強さを誇っている。THE Wは、これらのレギュラー放送よりコンテンツとして弱いと局に判断されたのだろう。  日テレに対しては、多くの人が抱いている印象がある。テレ朝にはM-1が、TBSにはKOCが、フジにはR1がすでにあり、お笑い賞レースのコンテンツを持っていなかった日テレが「他局と横並びになりたい」という思惑で後発ながら立ち上げたのがTHE W。この印象は今も拭うことができていない。  そんなTHE Wも今や、テレビに不可欠な女性芸人を発掘する場として機能している。優勝賞品に「日テレ人気番組出演権」があるように、『おもしろ荘』や『Nizi Project』(ともに日テレ系)とその構造は遠からずだ。つまり、この賞レースはテレビ的に内向きな機能を担う大会でもあるということ。
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「未熟な状態でテレビに発掘される」がM-1との違い
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