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絶滅危機…国内わずか6ヶ所「デパートの屋上遊園地」が“名古屋で復活”のワケ。レトロ遊具も再登場

デパオク、「コト消費」「屋上緑化」で復活するか?

 昔ながらの屋上遊園地が減り続ける一方、近年は体験に価値を見出す「コト消費」が注目されるなか、スポーツ施設や文化施設を導入することで遊休資産となっていた屋上の再活用をおこなうデパートもみられるようになった。また、大都市圏を中心に行政によって屋上緑化の推進・補助事業がおこなわれていることもあり、屋上緑化に合わせて簡単な遊具やイベント施設、ミニ農園などを備えた新たなかたちの「体験型屋上庭園」が生まれ、屋上に子供たちの声が戻る例も相次いでいる。
天空のフットサルコート

屋上遊園地→スポーツ施設は全国で見られる再活用方法。なかでも「天空のフットサルコート」は定番だ。写真はトキハ別府店(大分県別府市)、左端には神社も見える(写真:若杉優貴)

JR大分シティ(大分駅ビル、大分県大分市)

2015年に日本最大の屋上庭園(当時)として開園したJR大分シティ(大分駅ビル、大分県大分市)の屋上庭園「シティ屋上広場」。有料の乗り物や無料の遊具、神社、ミニ農園もあり、街なかの憩いの場として賑わいを見せている(写真:若杉優貴)

昔なつかしい屋上遊園地が復活

久留米岩田屋(米城ビル、福岡県久留米市)

「復活するデパオク」も。久留米岩田屋(米城ビル、福岡県久留米市)の「ソライロ広場」は永年閉鎖されていた屋上遊園地跡をビル所有企業が2013年に復活させたもの。有料の乗り物はないもののステージや簡単な遊具が設置されている。(2025年2月時点は一時休業中)(写真:若杉優貴)

 こうしたなか、今年(2025年)3月2日には、改装工事により休園していた松坂屋名古屋店の「屋上遊園」が全面リニューアルされて営業再開を迎えた。  先述したとおり、松坂屋名古屋店の屋上は前身をたどれば明治時代から続く歴史あるもの。百貨店の館内にあるアートフロアとの連携がおこなわれるなど様々な世代が楽しめるようになった一方、なんと永年活躍してきたレトロ遊具たちも再登場。ふたたび昔なつかしい屋上遊園地の雰囲気が味わえるようになった。  2025年時点で、この松坂屋名古屋店を含めて、昔ながらの大型遊具を備えた「レトロ屋上遊園地」は国内にわずか6ヶ所のみとなっている。もはや風前の灯火となってしまったデパートの屋上遊園地。今後、松坂屋名古屋店に続く「レトロ屋上遊園地の復活」はあるのだろうか。 レトロ屋上遊園地<取材・文/若杉優貴(都市商業研究所)>
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken
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