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フリーランスの王・株本祐己「フリーランスが活躍できる社会にしたい」。“フリーランス集団”というまったく新しい組織の形

まったく新しい組織のかたち「フリーランス集団」の誕生

水野:フリーランスで独立された後、2017年にStockSun株式会社を起業されたんですよね。現在の拡大ぶりは今やみなさんが知るところだと思いますが、プロフェッショナルのフリーランス組織で、顧客の課題解決を行う事業を行っているんですよね。 株本:はい。さまざまなフリーランスが属しているのですが、根っこの構造自体はシンプルで、フリーランスで仕事をしたところに1人、また1人と仲間が増えて今に至っていると感じています。  フリーランスって、最初のうちは1人で稼げることが楽しいんですが、売上が2000万円を超えたあたりから1人で得られる収入の限界も感じますし、何より「物足りないな」って思うんですよ。これは私の実体験でもあるのですが。  なので、1つのプロジェクトをフリーランスたちで達成していくことが楽しいですし、そこにやりがいも感じるのだと思います。 水野:そうかもしれませんね。フリーランスの人が「仲間と一緒にビジネスをしたい」という気持ちが出てくるのは自然ですよね。 株本: はい。多くのクライアントから評価されること、そしてStockSunに所属していることをフリーランスのみなさんに「価値」と思っていただければと思って会社運営をしています。 水野:まさに時流に合った働き方ともいえますよね。 株本:会社は現在8期目ですが、右肩上がりで成長を続けています。パートナーはいますが、バックオフィス以外に社員はほぼいません。そういう意味で私も今でも「フリーランス」だと思って仕事をしています。

効果が出るまで辛抱強く続けた人が、YouTubeの恩恵を得られる

水野:StockSunとしてYouTubeチャンネルも開設されていますよね。どんな目的があるのですか? 株本:YouTubeチャンネルはシンプルで、1つは新しいフリーランスの方に所属してもらうため。もう1つはフリーランスの方に私たちの考え方を浸透させるためです。  私たちのようにゼロから独立した人の人生を伝えていくと、理念の浸透も早いんです。動画を出す際に心がけているのは、「スーパー経営者の人たちの成功体験ではなくて、手が届く成功体験」。それが支持されているのだと思います。 水野:YouTubeチャンネルは2019年末から始めたということですが、その前から「令和の虎」への出演はしていたということですね。きっかけは何だったのですか? 株本:もともと林社長がみんなに「YouTubeやったほうがいいよ」とおすすめしていて、その中にマネーの虎に出演していた岩井良明社長もいたんです。そこから「令和の虎」の話が立ち上がって、「虎は誰がやるか」となったときに林社長と仲がよかった社長たちが初期メンバーになった。その中に僕も入っていたんです。 水野:令和の虎に出演するようになって、影響はありましたか? 株本:最初の頃は「令和の虎」も認知度がまったくなかったので、影響は全然ありませんでしたね。チャンネル自体が伸び始めるまで、だいたい1年かかりました。それは出演者がみな思っていて、「誰も見てないけど頑張る」という意識だったと思います。 水野:あるとき急にバズり始めたんですよね。 株本:はい、一定の認知が広がったところで切り抜きチャンネルが動画を流すようになって、一気に知名度が上がりました。番組内では応募者に対してコンサルタントとしての話がいろいろな角度から出てきますから、「虎」としては自分の能力の宣伝にもなる。実際に「令和の虎」がきっかけで、仕事はかなり増えました。結果的に良い影響をいただいています。 水野:経営とビジネスYouTubeの掛け合わせによる相乗効果を教えてください。 株本:ポイントは「会社の収益が上がる」「人が集まってくる」の2つです。  前者は、YouTubeで知名度が上がっていくことで本人や会社、サービスが有名になっていきます。知名度が上がれば、顧客が依頼するときの選択肢に入るため、当然多くの仕事が舞い込むことになります。  知名度が上がると会社に参加しようという人も増えますから、採用面にもかなりプラスです。実際、私の考え方や価値観を動画で見て、「良いな」と思ってくれる人が応募してきてくれます。そのため、企業とメンバーのミスマッチが起きにくく、離職率も抑えられるのです。YouTubeの費用対効果はとても高いと思いますね。 水野:そうなると、どんな人にもチャンスがありそうですね。 株本:ただ注意しなくてはいけないのが、効果には個人差がある、ということです。もともと求心力がある人がYouTubeで発信すれば、より多くの人に知られ、人が集まってきます。求心力がない人はいくらYouTubeを一生懸命やっても人が集まることはありません。まずはYouTubeを行う前に、他で認知拡大を行うことが大事だと思いますね。 水野:経営者本人がYouTubeをやるメリットはありますか? 株本:メリットは、売上に限らず、さまざまな反応がダイレクトに効果が反映されるということです。意外に思われるかもしれませんが、経営者本人の承認欲求が満たされることもメリットだと思います。  社長というと成功者のイメージがあるかもしれませんが、「人気者」ではありません。アーティストやアスリートみたいに歓声を浴びることは意外と少ない。ただ、YouTubeに出ていると、知らない人にも名前を覚えてもらえて、街中で声をかけられることもある。これは社長業では得られない、承認感覚だと思います。 水野:デメリットはありますか? 株本:経営の部分でバイアスにとらわれやすくなることですね。例えば、街中でたばこのポイ捨てをしたら、誰かに見られてSNSに書かれてしまうかもしれない。あるいは、赤信号の横断歩道を渡ると、何かつぶやかれてマイナスイメージがついてしまうかもしれない。  誰がどこで見ているかわからないので、限りなく品行方正に振る舞うしかなくなる。そうなるとどうしても、経営面でも「こうしなければならない」という考えにとらわれやすくなってしまいがちです。  会社経営をしていれば、リスクを負ってチャレンジするべきときもあります。ただ、そういうことが基本的にできなくなりますね。
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正しいビジネス・経営の知識をつけたフリーランスが活躍できる社会にしたい
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1973年生まれ。作家。実業家。投資家。サンライズパブリッシング株式会社プロデューサー。経営者を成功に導く「成功請負人」。富裕層のコンサルタントも行う。著書も多数。『幸福の商社、不幸のデパート』『「成功」のトリセツ』『富豪作家 貧乏作家 ビジネス書作家にお金が集まる仕組み』などがある。

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