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すき家と焼肉きんぐが、炎上を防ぐために“やるべき”だったこと。「単価が低い飲食店」で“おもてなしの精神”は不要ではないか

グランドオープンから間もないタイミングとはいえ…

 焼肉きんぐの事例は、その場の対応の悪さが際だったものでした。隣の席で嘔吐していたにも関わらず、店舗責任者は顧客を放置状態にしたうえ、お詫びの言葉を十分に伝えずに機械的に割引の提案をしたといいます。  焼肉きんぐは吐しゃ物に関する衛生管理方法を厳格に規定していたものの、周囲の顧客の席移動が不十分であったことや責任者からの謝罪や説明が拙く、誠意ある対応ができなかったと謝罪しました。  問題が発覚した「焼肉きんぐ 名古屋上飯田店」のオープンは2025年3月3日。事案が起こったのが3月28日で、グランドオープンから間もないタイミングでした。焼肉きんぐのような人気店はタダでさえ忙しく、ましてやオープン初月は人が殺到することも少なくありません。

“アルバイト経験がある”だけでも店長候補に?

 焼肉きんぐは急拡大中のブランドで、2007年に1号店をオープンしてから現在は300店舗以上を展開しています。運営する物語コーポレーションの求人情報を見ると店舗責任者の経験者募集を行っていますが、応募資格には「職種未経験歓迎」「ブランクOK」「シフトリーダーとして3名のメンバーをまとめていたアルバイト経験だけでもOK」などと書かれています。  つまり、熟練のマネージャーでなくても店舗責任候補者を雇入れ、一定の教育をしてから各店に送りこんでいるのでしょう。焼肉きんぐは2024年7-12月に14店舗を出店しています。月に2店舗以上、新たにオープンしている計算。どうしても、店舗責任者の対応品質にバラつきが出てしまうのではないでしょうか。  これはすき家も同じ。牛丼店は店長が複数の店舗を掛け持ちすることが珍しくありません。忙しすぎて、顧客への対応がおろそかになりがちなのです。
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飲食店の“脱属人化”が進んだ先には…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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