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すき家と焼肉きんぐが、炎上を防ぐために“やるべき”だったこと。「単価が低い飲食店」で“おもてなしの精神”は不要ではないか

飲食店の“脱属人化”が進んだ先には…

 飲食店はオペレーション負荷を下げるための取り組みが進んでいます。典型的なものが、「ディストピア容器」。食器洗いをなくすため、店内で使い捨て容器を提供するものです。  焼肉店やファミリーレストランではロボットが食事を提供するようにもなっており、モバイルオーダーも当たり前の時代になりました。  日本では“おもてなし”などと言われ、スタッフと顧客のコミュニケーションは最後の砦であり、効率化できない核心部だと見なされています。しかし、今回の事例を見る限り、その常識にも限界がきているのではないでしょうか。  焼肉きんぐの店舗責任者が、「嘔吐した場合の周囲のお客様への対応の最善策と、ふさわしい謝罪の言葉は?」と生成AIに問い合わせて対応していれば、ここまでの炎上は防げたかもしれません。これはすき家も同様です。2つの事例はSNSやGoogleマップへの投稿がきっかけで世に広まったものであり、顧客の不快感を抑えることが何より重要だからです。すき家に限っては、適切な情報開示の方法についてAIに尋ねる道もあったでしょう。  コミュニケーションをロボットに頼るというのは、いかにも逆ユートピアであるディストピアの世界観。しかし、企業にとって重要なのはリスクの最小化であり、必然的に脱属人化が図られることになります。顧客も、自らの期待値(基準値)に沿った対応をしているかどうかを見ており、そこから逸脱したものを厳しく糾弾しているように見えます。これも行きつくところは平均的な人びとの基準を見極めた対応であり、生成AIが得意とする領域です。  すき家や焼肉きんぐのような単価が低い飲食店は特に自動化が進み、人びともそれを求めるようになってきているのではないでしょうか。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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