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花形だった原宿・美容師たちの過酷な現実

 10年ほど前の原宿と言えば、カリスマ美容師に裏原系ファッションと、ファッションの聖地として、そのカルチャーの発信地としての地位を揺るぎないものとしていた。だが、今の原宿はと言えば、どうにも様子がおかしいようだ。
原宿,美容師

原宿にはこうした空きテナントが増えている(本文と写真は関係ありません)

「裏原宿系ファッションを求めて人が集まったのも、もはや10年も前のこと。今では原宿じゃなくても、ネットの通販や地方の量販店で裏原系ブランドが買える時代です。こうしたファッションの変化に加え、ここ数年、原宿で育った美容師の原宿離れが加速しています。いわゆるカリスマ美容師ブームの頃に美容師を志した連中が今、30代になっています。修行を積んでようやく独立というケースが多いのですが、いかんせん原宿は家賃が高い。その結果、地元に戻って開業したり、別のオシャレなエリアに移動する傾向が強いんです。中目黒から代官山、そして大宮なんかがここ数年は美容院の開店ラッシュを迎えています」  とは、原宿で美容院を営む高橋浩さん(仮名・43歳)だ。高橋さんによれば、家賃の高騰により原宿で個人が開業することはかなり厳しい闘いを強いられるという。高橋氏自身も逼迫した経営事情を吐露する。 「もっと家賃の安い郊外や別の街に移転したいのはやまやまです。ですが、そのカネがまるで貯まらない(苦笑)。2年間がんばって貯金しても、そのカネは今の場所の更新料に消えます。その程度しかお金が回らないんですね」  さらに高橋さんは続ける。 「一生懸命、原宿の美容院で修行して独立する。すると、その美容師に付いていたお客さんは、独立した美容師の店に通います。もし、通えない場所で独立してしまったら、お気に入りの美容師がいなくなったことを機に他の美容院に鞍替えするケースも目立ちます。そういったお客さんの大半は地元か、より近いお店に鞍替えすることが多いですね。ようするに、もう、原宿の美容院に行く価値というのが薄れているんです」  兵どもが夢のあと……。今や原宿は撤退した美容院の空きテナントが大量に発生している。だが、かといって廃墟だらけというわけではないというから不思議である。おまけに賃料自体は下がることなく上がり続けているという。原宿の美容院事情に詳しい人物に話を聞いた。 ⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/251975 <取材・分/SPA!原宿特捜班>
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