セシウム基準値超えの焼却灰が持ち込まれた秋田県小坂町
「福島の除染作業から排出される放射能汚染土の最終処分場の最有力候補が、鹿児島県の南大隅町である!」というニュースが8月23日の夕方、突然報道された。その2日後、25日に南大隅町役場にて「南おおすみの自然を守る会」による反対集会が開催された。しかしこのような「核のゴミ」は原発事故以前からも全国に拡散していた。各地で「核のゴミ」によって引き起こされている問題に迫った。
◆汚染された首都圏の焼却灰受け入れ再開
国の基準を超す放射性物質が検出された焼却灰が首都圏から搬入され、受け入れが中断していた秋田県小坂町。細越満町長は「安全性を確保する態勢の強化が図られた」として受け入れ再開を表明した。
同町では昨年7月、千葉県松戸・流山の両市から国の基準を超すセシウムが検出された焼却灰が運び込まれ、その一部が最終処分場に埋められたことが発覚したため、受け入れを中断していた。
汚染灰の発覚後、小坂町で展開された署名は町の人口の半数を超える数が提出されている。同町で最終処分場反対の活動をしているA氏はこう語る。
「これは小坂町だけの問題ではありません。受け入れれば、何十年、何百年と放射性物質の脅威と対峙しなくてはならない。排水を米代川にたれ流されれば、下流の流域住民まで巻き添えをくうことになる。一部の業者の儲けのために焼却灰を受け入れるなんてことがあってはいけません」
原発が排出する使用済み核燃料も行き場がない。だが、国内には処分する場所もなく、まもなく使用済み核燃料は、国内の原発の6割に当たる30基のプールが満杯になる。そこで政府が’70年代から計画していたのが、これをガラスなどに溶融して閉じ込め、地下数百メートルに埋める「地層処分」。将来、日本のどこかで実施されるかもしれない地層処分のための研究施設が2か所ある。北海道幌延町と岐阜県瑞浪市に、核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)が建設した研究所だ。原子力資料情報室の西尾漠共同代表はこう語る。
「地下研究施設は、処分場建設の一里塚。経済産業省は、文献調査をさせてくれるだけで10数億円の電源交付金を払うなどの策でやっきになっています」
こうして各地に“核のゴミ”が拡散されていくのだ。
― 全国に拡散する行き場のない「核のゴミ」【4】 ―
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