パチンコを打つためのリテラシーとは?

「リーチもかからないから、この台は大ハマリするかも……」
「1000回もハマッているなら、そろそろ爆発するんじゃ……」
「この出目は大当たり(or大ハマリ)のサインだ!」

 こうしたパチンコ業界におけるオカルトを真面目に考察して追求したメディアもなければ、研究したメーカーもない。もはやタブーと化した、業界のオカルト的な思考にパチンコ・ジャーナリストであるPOKKA吉田氏と、元パチンコ必勝ガイドの大崎一万発氏が強力タッグで斬り込んだ一冊『パチンコ オカルト信者につけるクスリ』が発売中だ。

 今回は、両氏にこの本を製作するに至った思いを語ってもらった。

⇒【前編】谷村ひとしとオカルト

◆それでもファンはオカルトが大好き

担当:千回ハマりの台とか見ると「そろそろかな」と嬉々として座っちゃう人いますよね。

大崎一万発:そうそう(笑)。逆にハマリ台は当たらんからって嫌う人とかね。僕は打たない派です(笑)。

POKKA吉田:どちらかというと確率論に関して知識のある人のが千回ハマりとか喜んじゃう。根っからのオカルトオバハンとか千回もハマってるの見たら避けるもんね(笑)。正攻法に頭がいってる人は、確率が収束するってことを考えがちだから。

大崎一万発:収束の捉え方が間違ってるんですけどね。

POKKA吉田:正攻法で打っているつもりの人ほどハマリに弱かったりするよね。数学者のヤコブ・ベルヌーイって人が「大数の法則」として、確率の考え方、試行回数が増えると一定の確率値に変数が収まっていくと定式化したわけですよ。でも、分母の2倍まわしたら、次の分母の2倍の回転は一気に収束するとかってことはまったく証明してない。そこを誤解している人が少なくないんですよ。

担当:「収束信者」ですか。これも一種のオカルトかもしれませんね(笑)。

POKKA吉田:あと谷村ひとしの言ってることで、納得というかそうだなあって思ったのはボーダーライン、期待値に関して。千円で何回まわったら日当2万円とかファン雑誌に書いてあるけど、そんな台なんかほとんどないのが現実。だからオカルトにすがるしかなくなるわけ。パチンコ屋も悪いよね。もうちょっと回せよと。千円で13回とか12回なんてひどい調整も珍しくないわけで、もうこれパチンコ打つなって言ってるのと同じ。

谷村ひとし

数多くの著書、連載を持つ漫画家の谷村ひとし氏。その影響力は大きい

担当:回らない台ではオカルト的な考え方が頭をもたげてきますよね。

大崎一万発:イライラから逃げたくて、いらんこと考えるからね。今はプレイヤーがパチンコに疲れている時代。ハマリは深い、小遣いは少ない、回る台もないって。そういうときにオカルトで楽しく打とう! って一瞬いいことみたいだけど、実は真逆だと思う。耳障りのいいこと言ってれば喜んで打つんじゃね? って、それはパチンコファンをバカにしてるやろって。みんな疲れてるからこそ、ちゃんと打とうよ、わかって遊ぼうよって説くのが真っ当な考え方。そこがオカルト論者のすごい嫌なところなんですよ。

POKKA吉田:俺は大崎さんが言ってることとベクトルは一緒やけど、理由が違ってて、都合の悪いところも全部見せるのが社会のマナー、ルールやと思ってる。全部見せて客が減るって、そもそもがおかしいねんと。それをやっていけない業界なら潰れてしまって全然かまいませんよっていう認識でいる。ええことも悪いことも表に出して、その実態が素晴らしいもんなら客が来る、どうしようもないもんやったら客が来ない、それは当たり前の話。上場企業のIRってそういうことでしょ。義務づけられてる情報公開をやって、会社に都合のいいように数字変えたら粉飾で捕まるわけで、会社が儲かってないっていうのも正しく公開せなアカン。それでアカン会社の株価は下がるし、それでいいって会社は上がるやろし。

担当:パチンコ業界の情報公開はあまり進んでいませんよね。

POKKA吉田:パチンコ業界はアホみたいに裏も闇もある業界というのは事実。全部出して業界なくなったら困るってヤツもおるけど、やっぱり自分らで改善していくしかないんじゃないのって思うわけです。


◆パチンコを打つためのリテラシーとは?

大崎一万発:『パチンコ オカルト信者につけるクスリ』を読んでもらえばわかるんですけど、この手の本って実はオカルトを妄信してる人には届きづらいんですよ。以前、パチンコ依存症から立ち直った人の本を紹介したことがあったんですが、依存症の人はなかなか読まないんです。だから、オカルト信者に向けてというより、一定の知識や理解がある人に読んでもらえれば、もっと楽しく打てる、そういう本だと思ってもらえれば。

担当:業界関係者からは冷たい視線を感じたとも聞きます。

大崎一万発:ホールやメーカーの人に話をしたら、ホントやらんでええからみたいな空気が強かったんです。お客さん減ってるのに、こんな時期にわざわざやらんでええやろって言われたんですけど、いやいやそれは根本的に間違ってませんかって話をすると、確かにそうだねって。POKKAさんがこの本を書いてくれたことで、業界側、特にメーカー側が、オカルトに対する考え方や、ファンに向けて正しい情報を出していく意味について考え直してくれるキッカケになったら理想なんですけどね。

POKKA吉田:この本を読んでもらうとリテラシーが身に付くと思います(笑)。 パチプロがすごいハマってね、2000回超えたからそろそろ当たるやろって思って打ってても、心の中ではそんなことはないって知ってるんです。でもそう思って打つのは人の心なんで、そんなんは否定しない。ただ事実関係としてはこうですよ、台の機嫌で大当たり確率は変わりませんよと理解してもらいたい。

担当:パチンコを打つ際のリテラシーですか。

POKKA吉田:競馬なんかにもオカルトがよくあって、変わった馬券の買い方をする井崎脩五郎さん、あの人が勝ってるか議論してもしょうがないわけだけど、でも面白かったりするわけです。あの人は明らかに競馬が、馬が大好きじゃないですか。あれを見てこれで競馬勝てるんや!って言うヤツはいないと思うんやけど、井崎さんを見て楽しんでる人はいると思う。パチンコでも、STスルーしそうになったら手離したり、トイレに行って機械に別人と思わせようとか、そういう楽しみ方を多かれ少なかれみんなしますよ(笑)。オカルトを全否定するんじゃなくて、面白がれるリテラシーというか、心の余裕をこの本で身につけることができるんじゃないかと。意味ないんだけどねってわかった上で、プッシュボタンを押したり押さんかったりしながら(笑)、存分にパチンコを楽しんでもらえたらと思います。

取材・文/長谷川大祐(本誌)




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