カリスマギタリストは兼業歯科医!?
投手と打者の二刀流挑戦で話題の日ハム・大谷翔平選手。が、それはあくまで同じ野球という競技のなかでの話。世の中にはもっとかけ離れたジャンルでの二刀流で活躍している人たちがいる。そんな“スーパー二刀流”のすごい人々に、両立の極意を聞いてみた。マジですごいよ!
◆歯科医×ミュージシャン
日本のプログレッシブロックシーンでカリスマ的な人気を誇るKENSO。今年で結成39年を迎えるバンドのギタリストであり、リーダーでもある清水義央さんは、現役の歯科医なのだ。
「ロックに目覚めたのは中1のとき。ビートルズやレッド・ツェッペリンなどの“洗礼”を受け、『スゲェ。僕もこんなカッコいい音楽を演奏してみたい!』と中2でギターを手にしました。ただ一方で、厳格な父から『医師か歯科医になれ』と強く命じられていたんです」
ほどなくキングクリムゾンなどプログレッシブロックにも傾倒。
「高校でKENSOを結成して、ラジオのバンドコンテストで運よく優勝。それで勘違いした(笑)。どうしても音楽をやりたい。そのためには勉強も頑張って、医学部か歯学部に入るしかない。でないと、絶対に父が許してくれない。学業と音楽の両立という意味では、当時から“二刀流”が自分にとって当たり前だったんです」
そして見事、歯学部に進学。
「バンドに没頭するぞ、と勢いづいたけど、歯学部って想像以上に授業や実習で忙しくて。それでも、大学時代にアルバムを発表できたのは本当にうれしかったですね」
このアルバムがコアな音楽好きから注目されたこともあり、歯科医となってからも音楽活動との“二足のわらじ”生活が続けられる。
「音楽一本にしなかったのは、要するに僕に意気地がないから。音楽だけではなかなか食えないし、自分の才能にも不安があった。それに根が真面目なので、歯科医業にも真剣に取り組みたかった」
まさかこの年になるまで音楽を続けられるとは思っていなかった、と苦笑する清水さん。
「音楽と歯科医、どちらも中途半端な気がして思い悩んだことも多かったけど、その2つを統合した姿が自分なのかな、と思えるようになってきた。なかなかライブをしたり、アルバムを発表できないので、ファンの皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいですが」
【清水義央さん】
’57年生まれ。医学博士。横浜市で歯科医院を開業する一方、プログレバンド・KENSOでも活躍する
― 投手兼打者どころの騒ぎじゃない![スーパー二刀流](驚)列伝【5】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ