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中国産使用の日本外食産業「厳格管理」も意味なし

 2013年は中国毒食品があらためてクローズアップされ、関連報道が相次いだ。11月に世間を震撼させた有名ホテルや老舗百貨店の「偽装表示」問題でも、数多くの中国産が使用されていたことがわかっている。
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中国のスーパーの様子

 中国産食品は、2008年の毒ギョーザ事件で輸入量が一時的に減ったが、実はいま、事件前の水準まで復活していたのだ。さらに近年では、スーパーなどにそのまま中国産食材が陳列されることは稀だ。多くは加工食品や外食産業など産地表示義務のない食品に使用されている。ファストフードや、惣菜・弁当、居酒屋メニューなどは中国産食材の宝庫だ。  中国産食品を使用しているスーパーや外食産業の一部では、メディアや消費者からの問い合わせに対し、決まり文句が存在する。 「当社は現地農家(飼育場)に対して厳格な生産管理をしており、品質も厳しくチェックしているので問題ありません」 「残留農薬や有害物質のチェック体制を幾重にも設けています」 「仕入れに関しては厳格な安全基準を設けています」  しかし、こうした言葉を信用していいのだろうか? このほど『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社新書)を上梓した、週刊SPA!連載「中華人民毒報」でもおなじみのルポライターの奥窪優木氏はこう警告する。 「トレーサビリティが成立しない中国では、いくら厳格な安全基準を設けたところで無意味なのです。中国の食品流通は、問屋や物流業者も省や市をまたぐごとに、別の中間業者が介在していて、流通経路がかなり複雑になっている」  例えば畜産品の場合、生産者からまず産地の卸売業者に渡り、せりまたは契約によって仲買業者に買われ、その後、消費地の卸売業者から食肉解体業者に渡り、さらに買出業者および食品加工業者を経てようやく小売業者にたどり着くのだという。 「しかも、このフローは単に川上から川下に流れるだけの単純なものではなく、生産者や複数介在する中間業者が、在庫のうちのいくらかを別ルートで単発取引するケースも多い」  こうした複雑な経路をとっている以上、日本のメーカーが厳格に生産から流通まで管理するのは不可能なのだ。  こうした事情に加えて、さらに厄介な問題も存在する。奥窪氏はこう続ける。 「日本で食品の不祥事が起こると、ほとんどの場合はまずメーカーが疑われます。しかし中国では違う。これまで中国国内で起きた食品関連事件を見ても、製造元の社員はもとより、問屋や運送に携わるトラック運転手、食品売り場の販売員など、流通に関わるあらゆる人間が“容疑者“になりうるんです。例えば調理場の雇われコックが、店が仕入れた正規の醤油を廉価なニセモノとすり替えて横流しし、差額で私腹を肥やしていたというのも、よくある話。コンビニ店員だって信用できない。正規メーカーの商品を仕入れて棚に並べても、店員が偽モノ業者と結託して商品をすり替えてしまうことも日常茶飯事です」  そう考えると、日本のメーカーがいくら厳重に管理・チェックしていても、例えば野菜を港へと運送中、トラックを荷ごと積み替えられるととうてい太刀打ちできないのだ。加えて、日本メーカーは現在、駐在員を減らして中国人の現地社員を増やす「現地化」を進めており、チェック体制はますますザルになると奥窪氏は指摘する。  ネズミ肉に下水油、カドミウム米に薬品漬けの鶏肉……こうした毒食品がひそかに原材料にまぎれこみ、日本人の口に入っている可能性が高いのだ。今回、奥窪氏は上掲書で、中国産食品の日本への流入実態はもちろん、とくに危険な食材や、中国産食品に含まれる毒の種類とその健康被害を詳しく解説。さらに在中邦人への取材や、現地ルポを通じて中国における毒食品の実態をも炙りだしている。“スポンサータブー”のため、テレビや新聞が報じない中国産食品の危険性をより詳しく知りたい方は、ぜひとも同書を手にとっていただきたい。 <取材・文・写真/日刊SPA!取材班>
中国「猛毒食品」に殺される

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