海外で注目!世界を撮るニートの“球場カメラマン”
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メキシコ北部で行われた中南米野球の祭典、カリビアンシリーズではチケットが手に入らず、ダメ元で現地に突撃。その場で名前と顔写真入りのメディアパス(撮影許可証)をゲットした。野球大国キューバでは、街中の広場で一日中野球を語り合っている人々の輪に乱入し、片言のスペイン語とジェスチャーで日本野球についてレクチャー。野球を通じて地元の人々と触れ合った。
旅先各地で撮影した写真は随時、facebookやツイッターに投稿した。若杉さんの活動は海外野球ファンの間で広く知られるようになり、帰国後の2013年7月には地元長崎の西洋館で写真展を開催。そして今度は、東京での写真展も決まった。
◆野球を通して“人間”を撮る
野球の写真と聞いたら、多くの人は選手のプレー写真を思い浮かべるに違いない。若杉さんの写真がユニークなところは、選手の写真のみならず、球場のスタンドの光景やファンの表情を切り取った写真が多いことだ。
「治安が悪い国が多かったけど、球場では野球を通じて人と仲良くなれたし、いろんな人に助けてもらった。だから、ファンを撮った写真が多いのかもしれないですね」と若杉さん。「自分はプロのカメラマンではないので、カメラマン席にも入れなかったし。だったら、アマチュアならではの写真を撮ろうと」
プロの職業写真家ではないからこその、視点と強み。若杉さんはひたすら「野球を通じて人生を楽しんでいる人々」の姿を撮り続けた。
「WBCグループリーグでプエルトリコがアメリカを破って決勝ラウンド進出を決めたとき、隣にいたプエルトリコ人が国旗を掲げて泣いていた。キューバの少年野球では、選手の母親が監督よりも真剣に審判の判定に抗議していた(笑)。そういう、野球を通じて人間の喜怒哀楽を表現しているような人々の姿にグッとくるんですよね」
1月25日に東京・渋谷で開催する写真展では、これまで撮影した15万枚から厳選した100~150枚を展示する予定だという。また、若杉さんの活動に共感し集まってきた世界各国の野球マニアたちによるブースも設けられ、各々が世界野球のディープな魅力を自由に表現する。
「野球好きの人はもちろんですけど、そうじゃなくても世界に興味がある人とか、何となく人生モヤモヤしている人とかにも是非来て欲しい。ありきたりの言葉ですけど、世界は広いんだっていうことを感じてもらえれば嬉しいですね」
●『世界の野球写真展×旅 in 東京 1/25』
詳細は以下のfacebookページでご確認下さい
https://www.facebook.com/events/194774064050996/?source=1
<取材・文/内野宗治(スポカルラボ)>
http://www.sclabo.net/
海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当
2013年11月、台湾で行われた野球の国際大会、アジアシリーズ。日本からは楽天イーグルスが出場し、各国のチャンピオンと熱戦を繰り広げていたその球場で“写真展”を開催していた一人の日本人がいた。
長崎出身の24歳、若杉雅也さん。世界8ヶ国を旅して各地で野球の風景を撮影した、知る人ぞ知る“野球写真家”である。先のアジアシリーズをはじめ、その前に行われた台湾シリーズ、さらに日本代表(侍ジャパン)の強化試合で、オフィシャルカメラマンも務めた。
“野球写真家”と紹介はしたものの、若杉さんはプロの職業写真家ではない。2年前に大学を卒業して以降、世界を旅して野球の写真を撮り続けている、いわば“ニート”である。彼のユニークな活動は海外からも注目され、台湾では地元紙に写真入りで紹介された。
「自分のように肩書きも経験もない人間にとっては(日本よりも)海外の方がチャンスがある」と語る“ニートカメラマン”若杉さん。アウトローに我が道を行くこの若者は一体、何者なのか?
◆海外逃亡、路上写真販売、歌舞伎町ホストを経て半年間の旅へ
若杉さんが世界の野球に興味を抱くキッカケとなったのは、大学時代に日本の就職活動に失敗し、逃げ出すように渡米したことだった。
元野球少年だったため、北米各地で本場の野球を見て回り、そこで日本とは全く違う野球に出会った。その後、フィリピンの英語学校で3か月間学び、帰国前に立ち寄った台湾でアジアシリーズを観戦。アジアの頂点を目指す戦いに熱狂する台湾人を見て「体に電撃が走り」、世界の野球を見る旅に出ることを決意したという。
写真を独学で学びつつ、歌舞伎町でホストをしたり路上で野球の写真を売るなどして旅費を稼いだ若杉氏は、2013年1月から半年間、メキシコ、キューバ、プエルトリコ、アメリカ、カナダを周遊。キューバの少年野球からWBCの決勝戦に至るまで、ありとあらゆる野球を見まくった。
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