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「美少女写真」というカテゴリが、日本で成り立って久しい――。
その端緒は、海外から輸入された美少女写真集が一部の好事家の間で人気となった’70年代に遡るが、被写体は欧州の少女だった。後に日本人の少女がモデルに起用されるようになり、’80年代に盛り上がりを見せるとこのカテゴリは日本に着実に根付くこととなる。
’80年代初頭、この分野に参入すると、これまでに300以上の美少女写真集を撮影し、今や「美少女写真家」の代表的存在の1人に数えられるのが会田我路だ。
その傍ら、小林ひとみや葉山レイコといったセクシー女優から、葉月里緒奈、佐藤江梨子、加藤夏希、紗綾、小池唯など、多くのタレント写真集を出版したが、’00年代以降は、主にまだ世に出ていない新人の少女を被写体にしている。
「田舎の工業高校の建築科だったので、とにかく男臭い環境で……(苦笑)。写真部に入ったけど、活動しているのは僕くらいのものでしたね。趣味で撮影していたが、当時からかわいい女の子の写真を撮りたいと思っていました。
後にプロになり、女性ファッション誌の『ミセス』(文化出版局)や『ドレスメーキングのかわいい子ども服』(鎌倉書房)などで子供服を撮っていました。当時、よくファッション誌の編集長に怒られたものです。『会田くん、女の子じゃなくて洋服を撮るんだよ』って(苦笑)」
会田が子供服のファッション誌や広告写真を手掛けていた’70年代、日本で「美少女写真」が産声を上げた。だが、現在とは時代が大きく違った。
嚆矢は、’69年の『ニンフェット 12歳の神話』(剣持加津夫・ノーベル書房)。児童ポルノ禁止法がなかった時代、日本人の少女を被写体とした本邦初の「美少女ヌード写真集」となった。
その後、’79年に『LITTLE PRETENDERS 小さなおすまし屋さんたち』(山木隆夫・ミリオン出版)が出版されると、今に連なるロリコンブームに火が着く。
こうした流れを汲む「美少女写真」というカテゴリだけに、現在でも、会田にはいわれなき誹謗中傷が浴びせられたという……。
「ネットでは『ロリコン』などと言われているようですが、もともと、僕はファッション・カメラマン。モード系ファッション誌『装苑』の文化出版局が創刊した『ハイファッション』(’60年)のカメラマンのアシスタントを2年ほどやって、31歳までずっとファッションを撮っていた」
実際、日本初の美少女写真集『ニンフェット 12歳の神話』は、現在言うところのロリコン趣味のテイストはほとんど感じられない。自然のなかで美少女たちが遊び戯れるようなナチュラリズムを前面に押し出したものだった。
写真集のタイトルにある「ニンフェット(nymphet)」とは、ウラジーミル・ナボコフ著の小説『ロリータ』で、主人公のハンバート・ハンバート博士が「9歳から14歳の少女」を指した言葉だ。
ただし、この言葉の語源となった「ニンフ(nymph)」の意味は、
1.《ギリシャ神話》ニンフ(◇海・山・川・牧場などに住む美しい精霊)
2. ((文学))(若い)美女,美少女;おとめ 【小学館 プログレッシブ英和中辞典】
タイトルと作品内容が大きく乖離していたのだ。
本作を撮影した剣持加津夫と同様に、会田の美少女写真も少女の“聖性”にフォーカスしたものだった。会田がボヤくのも理解できる。
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