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食品偽装のレストランに返金を求めに来たのはどんな人?

阪神阪急ホテルズ記者会見

客を小馬鹿にしているとまで言われた阪神阪急ホテルズの社長による記者会見

 昨年末、阪急阪神ホテルズが端を発した食品偽装問題によって、多くのホテルや百貨店でも類似の偽装が明らかになった。中でも高級食材を偽装したケースが目についたのは記憶に新しい。一例を挙げるとバナメイエビには芝エビ、レッドキャビアにはトビウオの卵を使用するなど、阪急阪神ホテルズが運営するホテル内のレストラン、宴会場など23店舗でメニュー表記と異なった食材が提供されていた。

 そこで、同社は10月22日の記者会見で、利用した客に対して期限を設けずレシートなしの返金を発表。この偽装が行われていたのは2006年3月頃からと言われており、述べ7万9000人に提供されていたことになる。同社の試算によると返金総額は約1億1000万円。会見から一夜明けると、ホテル側には300件を超える苦情や問い合わせが寄せられ従業員は対応に追われたそうだ。

 レシートなしの返金対応と言えば2002年、大手スーパー西友の牛肉偽装を思い起こす。埼玉県にある狭山市駅前店と、札幌市にある元町店の2店舗が牛肉の産地偽装をし、元町店では大騒動に発展。販売額の約4倍もの返金対応となってしまった。実際には買ってもいないのに返金申し出をしていた「なりすまし」が数多くいたのだ。

 今回の件も阪急阪神ホテルズは「性善説」に頼ったレシートなし返金対応をしているが、申し出した客すべてに返金をしているわけではない。

「2年間、毎週通ってオムライスを食べていた。50食分の代金を返金して欲しい」

 こういった荒唐無稽な苦情もあるほどで、「なりすまし」を避けるためにホテル側は予約台帳や会員カードなどで履歴を照会したり、申し出た客に対してしっかりとした聞き取りを行っている。長年、阪急阪神ホテルズを利用しているというAさん(60代男性会社経営)は今回のホテル側の対応についてこう話す。

「実はこの問題が起きた時に、阪急阪神から電話があったんや。こっちからは何も連絡してないのにな。『この度はご迷惑をかけて申し訳ありません』って。そこで説明されてんけど、どうやら予約履歴とかで調べてるみたいやな。それで対象になる人間にまず電話をかけて謝ってたみたいやわ」

 Aさんは自社の歓送迎会や顧客の接待でも、阪急阪神ホテルズ傘下のホテルを利用する上客だ。そのAさんは返金の申し出はしていない。

「『電話がかかってきたときに返金します』って言われてんけど返金には行かんかったわ。はっきりってこんなこと、どこのホテルもやってるでしょ? いちいちそんなことに目くじらたてもしょうがないわ」

 そう言ったAさんは今後も阪急阪神ホテルズを利用し続けるそうだ。

返金に応じるレストラン

店の前には謝罪と経緯を記したものが掲げられていた

 しかし、同社傘下のホテル側の対応に不満を覚える利用客も多い。取材班は実際にレストランで張り込みを行い、やって来た方々に話を聞いた。

 大阪新阪急ホテルの地下にある、フランス料理店に返金の申し出に来ていたBさん(50代男性会社員)は「返金して貰えなかったよ」と残念そうに言うと、こう語った。

「一昨年前に仕事でこのホテルに泊まったんだ。その時の領収書も持ってきてるよ。それでもダメだったんだよ。向こうがリストみたいなのを持ってくるんだけど、そこで『これを食べましたか?』など、色々と聞かれて結局全部対象外ってことで断られたんだよ」

 Bさんは、当時の記憶を頼りに食した料理を予めノートにメモをし、そのメモと領収書を持参の元、わざわざ同料理店を訪れていた。

 だが、Bさんは偽装食材を使用した料理を食べていなかったことでまさに骨折り損。

「1時間もかけて電車で来たんだから、交通費ぐらい出してくれてもなぁ…」とがっくり肩を落として帰って行った。

 別の利用客のCさん(60歳女性)も同じように返金を断られている。

「結構昔に間違いなく対象の料理を食べたんですよ。なので返金して貰いに行ったら、いろいろ聞かれるんです。何年の何月何日に何を食べたのか、とか。でもそんなに細かく覚えてないので、そう言ったら『それでは対応できません』と言われたんです。そんな前のことをしっかり覚えてる人っているんですかね?」

 食品偽装によって、ホテルのイメージを損なったのは確かだ。それを払拭するための返金対応だったが、それがかえって利用客の評価を下げていては笑い話にもならない。

 ウソはいけない。だが、ここまで徹底して遡って調査をしたり班別する能力と時間があったなら、最初から偽装なんかせずに“本物”の食材を提供すればよかったのではなかろうか……。

<取材・文/SPA!大阪食品偽装問題追及班>




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