ウクライナ問題で揺れるユーロは132円まで下がる!?
ウクライナ情勢の混乱を受けたリスクオフの展開から、依然、円高圧力が強まっている為替市場。3月期末要因(外国に投資していた資金を日本に還流させる=リパトリ)なども重なってユーロ/円は特に上値の重たい展開が続いている。「レンジ相場が続く」「長期的には円安は変わらない」など、専門家の見方もわかれ、FXトレーダーにとっては、稼ぎづらい相場といえよう。
ロシアがウクライナ南部のクリミア自治共和国の編入を強行し、G8からはぶられても関係なし!なんて姿勢を貫き続けるようだと、一層の混乱をきたしそう……。果たして、気になるユーロ/円の行く末は? ラジオNIKKEIの人気アナリスト・陳満咲杜氏に聞いてみた。
「まず、長期的には円安トレンドが継続するでしょう。それはユーロ/円の週足チャートを見れば一目瞭然です」
そう言って、陳氏が見せてくれたのが、図1のチャート。カラフルな赤と青のラインがローソク足チャートに表示されているが、これは「GMMA」と呼ばれるテクニカル。赤のラインは、長期移動平均線で、青のラインが短期移動平均線。ベア(下降)トレンドでは長期の“赤”が短期の“青”の上空を浮遊し、ブル(上昇)トレンドでは逆に“青”が“赤”の上空を浮遊する。一目でトレンドの状態を確認できるツールだ。
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=611789
対して、下に表示されているのは一般的な「RSI」だが、陳氏の見方は通常のRSIの見方とは異なる。
「RSIを買われすぎ・売られすぎのシグナルとして活用する人がいますが、それは間違い。詳細は省きますが、重要なのはRSIの変動レンジです。というのも、ブルトレンドとベアトレンドとでは、RSIの変動レンジが明確に異なるんです。図1のチャートでも、ずっと続いてきたベアトレンドではRSI50以下を推移することが多かったのに対して、『トビウオ』と書かれたポイントからブルトレンドに転換したあとは50以上を維持している。ここに着目すれば、50以上を維持している限り、ブルトレンドが継続していることが一目でわかる。GMMAをチェックしてみても“青”の短期組が“赤”の長期組の上にあり、さらに長期組は強い上昇トレンドを示唆するように広がっている。この形が崩れない限りは、下降トレンドに転換する危険性はないでしょう」
説明しておくと、「トビウオ」というのは短期組が長期組を上抜く(ゴールデンクロス)ことを指す“陳さん用語”。ただし、こうした読みはあくまで“長期的”なもの。より細かく見て行くと、「短期的な調整局面」が見えてくる。
「図2は図1を拡大したものです。『強気リバーサル1、2』という表示がありますが、これは『RSIが安値を更新しているのに、ローソク足は安値を更新しない』という“逆行現象”を指し、一般に“トレンド継続”のシグナルと言われます。対して、『弱気ダイバージェンス』は、『ローソク足が高値を更新しているのに、RSIは更新していない』という逆行現象で、“トレンド転換”のシグナルになりやすい。これを踏まえてチャートを見ると、強気リバーサル1が発生したあとに、そのシグナルどおりトレンドは継続して高値を更新していきました。しかし、こうしてできた高値で今度は弱気ダイバージェンスが発生してしまったんです。リバーサル→ダイバージェンスの順だから、シグナルの序列としてはダイバージェンスが上。リバーサル2も発生していますが、弱気ダイバージェンスのほうが長期間の値動きから形成されていることを考えれば、シグナルの精度はやはり上。ということで、今後、下落に転じ、調整局面入りする可能性のほうが高いと予想できるわけです」
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=611790
少々小難しくなってしまったが、赤い点線の矢印で発生した「弱気ダイバージェンス」というベアトレンドへの転換を示すシグナルのほうが重要というわけ。では、具体的にどこまでユーロ/円は値を下げるか?
「私は132円までは下げると見ています。2007年に円高トレンド(ブルトレンド)に転換する直前の高値と、2011年に円安トレンド(ベアトレンド)に転換する直前の安値との半値が、ちょうど132円になるんです。図2で見ると、右端の“赤”の長期線の束の下限あたりですね」
実は、こうした一時的なベアトレンドの転換は、日足を見てみると如実に表れてきているという。
「図3がユーロ/円の日足チャートですが、RSIの安値にトレンドライン(黄色の点線)を引いてみると、今年2月の急落の際に、一時的にそのトレンドラインを下抜いていることがわかると思います。これはしばらく続いてきたブルトレンドがベアに転換したことを示唆する1つのシグナルなんです。この“下抜き”はダマシに終わる可能性もあるので、140円を割ったら売る、ぐらいのスタンスで考えておけばいいでしょう。明確にベアトレンドに入ったら132円は行くと思いますので!」
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=611792
総じてみれば、目先はほぼ売り目線。ユーロが140円を割ったら、売ってみるのがいいかも。
ちなみに、陳氏が今回披露した、GMMAとRSIを使った相場分析は氏の新刊『~基本にして最強 GMMA+RSI~ 二刀流FX』でガッツリ解説してある。ここでは紹介できなかった、RSIにボリンジャーバンドを表示させてエントリーポイントを見極める手法や、リバーサルを利用して“目標高値・安値”を弾き出す方法なども記されているので要チェック!
<取材・文/日刊SPA!取材班 チャート/アイネット証券提供のものを陳氏が加工>
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