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日本が国際社会で生き残るためにはどうすべきか/倉山満

日本が国際社会で生き残るためには

 日本国が国際社会で生き残るために何をすればいいか。
プーチン大統領

ロシアのプーチン大統領の論文には「ウクライナの真の主権は、ロシアとの協力関係においてのみ可能であると私は確信している。私たちはひとつの民族なのだから」との言葉が 写真/EPA=時事

 ちゃんとアメリカの属国になれ、と言いたい。21世紀に入って、真面目にアメリカの属国をやったのは、小泉純一郎首相だけではないか。あとは、中国の属国か、不真面目な属国だ。  9・11テロの時、小泉首相は即座に同盟国のアメリカを支持。「憲法上可能なことは何でもやる」と伝え、実行した。いわば、「アメリカ幕府の外様大名」として、「将軍家の一大事」に馳せ参じた。属国だろうが何だろうが、同盟の義務を果たした。代わりに日本が北朝鮮と交渉する際、アメリカは軍事的も含めた圧力を加えて日本に協力した。  国際政治は日本の戦国時代と同じ論理で動いている。すなわち、「子分を守らない親分は、子分に見捨てられる」なのである。

今の日本は国(アクター)ではなく、土地(シアター)

 残念ながら、敗戦以後の日本は、地球上に国名ではなく、地名としてのみ残っている。今の日本は国(アクター)ではなく、土地(シアター)なのだ。今すぐ大国(パワー)に戻るのが無理な以上、まずは小国に戻る道を真面目に模索すべきではないか。だから、現実を見据え、「アメリカの属国を真面目にやれ」と言っている。  戦後保守政治家の大半は、「いばらの道を歩むくらいなら、すべての周辺諸国の靴の裏を舐めても構わない。それが現実主義だ」と考えてきた。果たして、それが現実か。自分の運命を自分で決められない状況に甘んじ、何の努力もなさない。  敗戦でアメリカの持ち物にされ、旧ソ連や今の中国が「それを俺に寄こせ」と小突き回し、北朝鮮や韓国にまで舐められる。それのどこが現実主義か。単なる現状主義ではないか。しかも、当のアメリカが「助けてくれ」と言っている時に。

「ロシアとウクライナは同一民族だ」と主張するプーチン大統領

 もっとも、今のウクライナ問題では、アメリカの本気が見えない。しばらく様子見は結構だが、「臨戦態勢で待機」ほど難しいものはない。まずは飛耳長目、世界で何が起きているかを見極めることだ。  専門家が注目するのは、昨年7月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が発表した論文だ。プーチンは「ロシアとウクライナは同一民族だ」と主張、1000年の歴史を強調している。ウクライナの首都キエフは、ロシアにとって父祖の地。日本人にとっては、熱田神宮と愛知県が韓国にあるようなものか。  なぜこの時期にプーチンがと考えるより、常に考えていたと解釈する方が良さそうだ。
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プーチンにとってウクライナは「失地回復」以外の何物でもない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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