すわ暴動か!? ブラジル戦のパブリックビューイング会場は阿鼻叫喚【現地レポ】
―[ブラジルW杯現地レポ]―
現地時間23日、ブラジル代表は決勝トーナメント進出をかけてカメルーンと対戦した。日本×コロンビア戦を翌日に備えて、クイアバの宿でテレビ観戦を決め込もうとした記者であったが、街中の”そわそわ感”には勝てず、パブリックビューイングが行われる「FIFA FAN FEST」に行くことにした。
同好の士を募っていると、宿を出るのが試合開始30分前になってしまった。慌てて宿を出ると目の前に止まっていた乗用車の中年男性に声を掛けられた。聞けば非番のタクシー運転手で、格安の値段でパブリックビューイングの会場まで乗せて行ってくれるという。非番の運転手が自家用車を使って営業活動するなんていいのかよ? というツッコミはさておき、ここはブラジルである。5人乗りの車に6人が乗った車は試合開始10分前に会場に到着した。
しかし……会場の外には長蛇の列ができていた。入り口に向かってカナリア色のユニフォームを着たブラジル人たちがぎっしりと並んでいる。そうこうしているうちにここからは見えない大型ビジョンからは国歌が流れ、ブラジル人たちが一斉に合唱。拍手と歓声。いよいよ試合が始まるようだ。
が、列は全く動かず、試合開始のホイッスルを会場の外で聞くハメになる。花火の爆音、歓声。それまでじっと耐えていたブラジル人たちも早く試合を見たい誘惑に駆られ、ブーイングや口笛を吹き、背中を押してくる。入り口に殺到しはじめる人々。ちょっと危ない雰囲気になってきた。
15分経っても列は動かない。列の遥か先にセキュリティチェックがあるゆえ、とにかく時間が掛かるのだ。そうこうしているうちに会場内からは大歓声が。それと同時に爆音の花火。得点が入ったようだ。その後も悲鳴、歓声が入り混じって聞こえてくる。列の人々も気が気じゃないようで、「ゴールか?」「いま何対何?」と聞いてる。
開始25分、これまで忍耐強く待っていた人々も直射日光の暑さと、じりじりとしか動かない列に業を煮やし、入り口に殺到し始めた。記者も人波に揉まれながら前に進むと「バリバリバリ」という音が。なんと整列させるために組まれていた柵や、バリケードをなぎ倒しながら一斉に人々が雪崩れ込んだのだ。警察官や警備員の制止を振りきって殺到する人々。「キャーー!」「ギャアァァ!」女性の金切り声と怒声が緊迫感を増長させる。
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警察官や警備員が群衆を力づくで制止し暴挙はなんとか収まったが、ボディチェックを受け、ようやく会場に入れたのが試合開始後35分。わずかに見える大型ビジョンに映しだされていたのは2‐1のスコアだった。3ゴールも見逃してしまった……。大人しく宿で見ていれば……そんな後悔が頭をよぎったが、今度は立錐の余地ほどの人人人。軽く1万人はいるだろうか。前回ブラジル戦を見たサルバドールのパブリックビューイング会場の半分ぐらいの敷地が埋め尽くされていた。
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