元ヤン地下アイドル小柳朋恵に学ぶ「どん底からはい上がる」生き方
カイジ「どん底からはいあがる」生き方の話』(サンマーク出版)を発売したばかりの経済ジャーナリスト・木暮太一氏だ。さすがにカイジほどではないが、どん底だと言われる地下アイドルに興味を持ち、先日、仮面女子:スチームガールズのライブを観たばかりという木暮さんに、小柳さんのどん底からのはい上がり方を探ってもらった。
18歳と36歳。ダブルスコアとなる歳の差に緊張気味の両者の対談。第一声は小柳さんの「私、元ヤンなんですけど~」という一言から始まった。小柳さんは、真っ赤な髪の毛で、中学卒業後に地元長崎県から2万円だけ持って単身上京していた――。
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木暮太一(以下、木暮)「ヤンキーとアイドルって対極な存在にみえますが、始めるときに抵抗は?」
小柳朋恵(以下、小柳)「ぶっちゃけ、アイドルっていっつもニコニコして媚びた感じで『気持ちワル』って思ってました(笑)。でも、やる側になってすごい大変だなと思うし、自分が芸を磨けば磨くほどダンスでも前の列に行けたり、とても面白い職業だなと思っています」
木暮「今はすごい前向きでやる気に溢れてるようにみえますが、どん底だった時期はいつ頃ですか?」
小柳「去年(2013年)の8月にTwitterでやらかしてしまって、スチームガールズのセンターを降ろされた時です(苦笑)。上京するときは怖いもの知らずだったけど、最近では怒られすぎて凹んでしまい、怒られないように無難な感じでやってしまっている自分にも気づきました」
木暮「実は僕も新入社員だった頃は、怒られまくっていて、“怒られ侍”って呼ばれてました(テレビ番組『SMAP×SMAP』のキャラクターに由来)。就職活動のときに先輩社員に高い焼き肉をおごってもらって何となく入ったのですが、全然その会社の仕事を好きになれなくって……。細かい業務が本当に苦手で、エクセルの数字入力では必ず計算がズレてしまっていました」
小柳「え~! 私のあだ名も“怒られ鬼”です! 仲間じゃないですかっ(笑)」
木暮「怒鳴られ続けていたら挑戦しようという気持ちがなくなってしまい、やがて『転職しよう』と思うようになりました。嫌いな仕事を無理に好きになろうとせず、この職場で何かを成し遂げたと思った時点で、次に好きになれること、熱中できることを探すべきだと思ったのです。世の中には、他人の声や目に縛られて身動き取れなくなってる人がたくさんいますが、他人は言ったことに責任とってくれないし、最終的には自分で決めてやるしかない。けど、人がやってないことをやるのには勇気がいりますよね。小柳さんは、なぜこの道を選び、どん底からはいあがれたのですか?」
小柳「今までやってきたヤンキー魂の延長ですかね(笑)。あとは、やっぱり応援してくれてるファンの方たちが『絶対戻れるからがんばろう』と言ってくれて、やめちゃダメだと思って復活しました」
木暮「ファンの期待に応えたいから簡単にあきらめられない?」
小柳「そうですね、挫折を経て責任感もだんだんと生まれてきました。『うつ病で自殺しようと思ってたけど、毎日ここに来るのが楽しくてやめた』と泣きながらファンの方に言われたり、他人の人生を変えられるなんですごい仕事だなって改めて思っています」
木暮「自分の仕事がどう消費者に伝わるか分からず、仕事してる感がない人って多いと思うんです。そういう人も、小柳さんたちのライブを見て、誰かのために頑張ろうって思えたらいいですね。じつは、今回の対談前にライブに2回おじゃましているんです。そこで、会社帰りのサラリーマンがとても元気でビックリしました。実際、かなりのサラリーマンを救っていると思うんです。世の中も自分の身の回りの状況もめまぐるしく変わり、目標を固定化することが意味ない今の社会では、5年後どうなるかなんてわからない。そうなると、将来的なビジョンを無理に立てるよりも、今日一日を精一杯頑張ることのほうが大事になるはずです。毎日の公演に全力の小柳さんたちの姿を見て熱狂すれば、自分自身の楽しいことや好きなことを見つめ直せると思います」
小柳「ありがとうございます! まずは、地下アイドルのなかでテッペンをとるため、毎日の公演をソールドアウトできるようがんばります!」
●木暮太一(こぐれ・たいち)
経済入門書作家、経済ジャーナリスト。1977年、千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て、作家として活動。近著にギャンブル漫画『カイジ』を題材にしたシリーズ『カイジ「命より重い! 」お金の話』、『カイジ「勝つべくして勝つ! 」働き方の話』、『カイジ「どん底からはいあがる」生き方の話』(サンマーク出版)など
【ブログ】http://ameblo.jp/koguretaichi/
●小柳朋恵(こやなぎ・ともえ)
アイドル。アリプロジェクト所属。1996年、長崎県生まれ。地下アイドル「仮面女子:スチームガールズ」のヤンキー仮面。中学卒業後、地元長崎県を離れ、2万円だけ持って1人で上京。趣味・特技は、コラムを書くこと、メンバーの下着を漁ること、ブリッジ、ダンス。現在、Twitterで「小柳朋恵」とつぶやくと、本人がフォロー。秋葉原の常設劇場にて365日毎日ライブ公演中!
(http://www.alice-project.biz/parms)
【ブログ】http://ameblo.jp/koyanagi-tomoe/
<取材・文・撮影/林健太>
地下アイドル「仮面女子:スチームガールズ」をご存知だろうか? アイドルなのにマスクで顔を隠した姿や、ガスを噴射する銃やゴムボートで客の上を運ばれるなど、奇抜なパフォーマンスで注目を集めているグループだ。メンバーのなかには、寮で共同生活を送る者もおり、そこにはキラキラしたアイドル然とした様子はなく、地下アイドルの苛酷さ、厳しい生活の“どん底”ぶりが赤裸々に写されている。
複雑なバックグランドを持つ者は地下アイドルには少なくないが、仮面女子:スチームガールズのメンバー・小柳朋恵さん(18歳)は、そのなかでも特異な存在だ。デビュー前、そして地下アイドルになってからも、多数の挫折や苦難を味わってきた。
そんな小柳さんに注目するある作家がいる。ギャンブル漫画『カイジ』を題材にしたシリーズの第3弾『
『カイジ「どん底からはいあがる」生き方の話』 残酷な世界を生き抜くルールとは何か? |
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