「こども110番の家」はホントに安全? 我が子を犯罪から守るために親が教えるべきこと
「こども110番の家」をご存知だろうか。
子供達が危険に遭遇したり、困りごとがあるとき安心して立ち寄れる民間協力の拠点として、警察や地方公共団体が中心となり地域ボランティアによって進められている活動である。2016年末で176万箇所ほどの設置が確認されており、「こども110番の家」のシールが貼ってある民家や商店に逃げ込むように指導する学校は多い。
しかし、どんな人が住んでいるかも知らない「こども110番の家」を信頼することは、今の時代難しいのかもしれない。
目黒区では、協力家庭申込書に氏名・住所・電話番号さえ書けば「こども110番の家」のステッカーが送られ玄関に貼ることができるという手軽さだ。「信頼性」を担保するような仕組みを持っているとは思えない。顔も知らない人の家に子供が逃げ込むことを不安に感じるのは筆者だけではないだろう。
また、ステッカーが曖昧なところに貼られているせいで、子供がどこに逃げ込めばいいかわからないような場所もあった。
果たして「こども110番の家」というシステムは有効なのだろうか。立正大学文学部社会学科教授で、犯罪学者の小宮信夫先生に話を聞いた。
――こども110番の家は、子供達を犯罪から守る上で有効な手段になり得るのでしょうか。
小宮信夫(以下、小宮):まずきちんと住み分けをするべきなのは、子供向けの説明と、大人向けの説明を区別しなくてはならないということです。子供向けの話をすると、こども110番の家はむしろ強調しないほうがいいんです。子供に第一に教えるべきは、「一番近くの家・お店・人に助けを求めなさい」ということ。今の指導だと、こども110番の家にしか逃げられないと思ってしまう。
2014年に起きた埼玉少女監禁事件では、犯人の外出中に逃げ出した少女が結局誰にも助けを求められず、駅の公衆電話から自宅に電話しているんです。これは一番危ない手段です。駅に帰ってきた犯人と鉢合わせになっていた可能性も十分にあります。子供には、まず近くの家や歩行者に助けを求めなさいということを指導するべきです。
――大人向けの説明とは何ですか。
小宮:大人の立場からすると、こども110番の家はたくさんあるほうがいいです。犯人に対して、「この地区は子供への関心が強くある」ということを示すという意味で有効性があります。こども110番の家は犯罪に対する抑止力として活用するべきで、それを教育とかしつけの面にそれを持ち込んではいけないということです。
――現状としてこども110番の家や、それに対する教育は改善されず、このままの状態が続いて行くと思います。子供を持つ親など、個人にはどのような取り組みが求められますか。
小宮:自分の子供には、「ここに逃げ込むんだよ」と伝えるのではなく、「頼れる人に頼る」という価値観を教えることが大切です。そのためには、小さい頃から知らない人と子供を話させるような努力を親がするべきです。大人と堂々と話せる子供の方が誘拐されにくですから。
4歳から11歳の誘拐事件において、8割は騙されて連れて行かれます。こども110番の家が想定するような「無理やり襲ってくる」というケースは全体の2割に過ぎない。子供は嬉々としてついて行くんです。
「こども110番の家」を子供に教えるデメリット
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