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安達祐実、『子役は大成しない』その葛藤は常にあった

『家なき子』以来20年ぶりとなる主演映画『花宵道中』で安達祐実が演じたのは悲しい運命を背負った花魁。「気づいたらもう女優だった」という彼女にこれまでの女優人生について語ってもらった。

安達祐実――安達さんといえば、誰もが思い浮かべるのが『家なき子』(※)。今、改めて振り返ってみて、あのドラマはご自分の人生にとってどんな影響があったと思いますか?

※『家なき子』
当時12歳だった安達の存在を世に知らしめた大ヒットドラマで、のちに映画化もされる。貧困や家庭内暴力をはじめ、度を越した困難にも負けずに逞しく生きる少女を描き、最高視聴率37.2%を記録。「同情するなら金をくれ!」という決め台詞は新語・流行語大賞に選ばれるほどのブームに

安達:私が予期しないところでも大きな反響があった作品なだけに、やっぱり長い間重荷に感じることもありましたよ。10代後半くらいまではその話題自体がすごく嫌だったし。ただ、『家なき子』がなかったら、私の女優人生はこんなに順調じゃなかったはず。名前を聞いただけでみんなが必ず思い浮かべてくれる作品があるのって、本当に貴重なことですし、女優としてこれ以上ないほど幸せなことなんですよね。「代表作」というのは自分でつくりだせるものじゃない。人から認めてもらうものだから。大人になってからそのことがよくわかるようになりました。

――子役から女優というルートに息苦しさを感じたことは?

安達:うーん……10代半ばくらいの世代の熾烈なデビュー戦を勝ち抜いて出てくる自信は私にはないですから(笑)。そうやって出ていらっしゃる方たちはすごく大変だろうなと思います。私みたいに物心がつく前からテレビの仕事をやっていて、流れで自然にこの世界に存在しているっていうスタンスのほうが楽だろうなって。まあ、どうしても「子役は大成しない」というジンクスはついてまわりますけど。それが真実なのか、それとも覆すことができるのかっていう問いかけのなかで私はずっと生きてきたような気がします。苦しい時期もあったし、でも勝てるような気がするときもあるし。昔は波が激しかったなぁとは思いますね。

――2年前、ちょうど30歳を迎えて『主に泣いてます』(※)のゆっこ役を演じられたときは、従来のイメージとかけ離れたハイテンションぶりとキレ芸に驚嘆しました(笑)。

※『主に泣いてます』
美しすぎるがゆえに、逆に不幸な人生を送る女性・泉(菜々緒)をめぐる騒動を描いたシュールなコメディドラマ。安達は泉の不倫相手・仁(風間トオル)の妻・ゆっこをエキセントリックに演じ上げ、目の肥えたドラマウオッチャーたちから熱い賞賛を浴びた

安達:ゆっこ役に指名していただいたときはマネジャーさんと一緒になって喜びました。「これを安達祐実にやらせようと思ってくれる心意気がすごい」って(笑)。破壊力のある役だったし、ターニングポイントになりました。「こうしてどんどんぶち壊していけば、女優としてもっと先に進めるんじゃないかな」って。

――ずばり安達さんにとって女優業とはどういうものですか?

安達:私は最初から「女優になりたい」と思ってこの世界に入ったわけじゃない。だから人に見向きもされなくてもお芝居を続けられる人間ではないと思うんですよ。では「なぜこの仕事をするか?」っていうと、それは私の存在意義、私の居場所を確保するためにやっているっていうことなんだと思うんです。ただ、それこそ朝霧みたいに、たとえば恋愛をすることによってその居場所が脅かされてしまうことはあるわけで。

――特に芸能人の方はプライベートが仕事にすごく影響しますよね。

安達:いろんなことを隠しておけないし(笑)。だから何事に関しても、リスクは常に考えているつもりではいます。これをすると仕事に何か悪影響があるかもしれない、もしかしたら失ってしまう可能性だってある、それでもいいのかどうか、って。女優をやっていくかぎりはそんなことを考え続けていくと思います。

――現在は小学2年生の女の子の母親でもありますが、もし娘さんから「女優さんになりたい」って言われたらどうしますか?

安達:今のところは「まだ小学生なんだから、とりあえず勉強しなさい」って答えています(笑)。周囲のお膳立てでこの道に進んでほしくはなくて。「私とは違う人生を見てみたい」っていう思いを娘に託している部分もあります。ただ、女優という仕事に憧れてくれるってことは、私が楽しそうに働いているように見えているっていうことだから。それ自体はすごく素敵なことだと思いますね。まあ、高校生くらいになって、本気でやりたければ、やればいいんじゃないのかなと。バイトして、自分でお金を稼ぎながらでもやりたいって言えるかどうか。

【花宵道中】
第5回「女による女のためのR-18文学賞」にて大賞を受賞した宮木あや子の同名小説が原作。安達が演じるのは、体が熱くなると「肌に花が咲く」ことから客の人気を集める吉原遊女・朝霧。ある日、縁日で出会った男に初めて淡い恋心を抱いたことから、彼女の運命が一変していく。11月8日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

【安達祐実】
’81年、東京都生まれ。2歳から赤ちゃん広告モデルを経験。のちに子役としてCMなどで活躍。’94年より放送されたドラマ『家なき子』で主人公・相沢すずを演じ、天才子役として大ブレイクする。代表作に『ガラスの仮面』『大奥』『娼婦と淑女』などがある

※このインタビューは週刊SPA!10月28日号のインタビュー連載「エッジな人々」から一部抜粋したものです
<取材・文/倉本さおり 撮影/吉場正和>




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