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短ラン、ボンタン、刺繍…今どきヤンキーの「卒業式用学ラン」事情

「夜露死苦」「バリバリ」「なめんなよ」。今の40代がまだ中高生だったころ、一世を風靡したヤンキーファッションが時代を超えて流行の兆しを見せている。その背景とは? ◆不良少年が存在感をアピールする手段かと思いきや…… ヤンキー 3月の卒業式は、学生にとっては人生最大の花道。良き師、良き友との別れを惜しみながら、思い出を胸に刻むものだ。  しかし、そんな彼らの姿が悪い意味で注目を浴びたのは、3月12日のこと。福岡市内の中学校で卒業式に出席した卒業生たち約150人が、ド派手な刺繍入りの特攻服や変形学生服を身にまとい、博多駅前に集結したのだ。  解散を求める駅員に暴行を加えた女子中学生が逮捕されるなど、“修羅の国”らしさを伝えるこのニュースは全国に配信された。続いて翌週には岡山駅前でも同様の事態が起き、警官50人が出動する騒ぎになった――。
ヤンキー

岡山駅前に集結した中学生たち。地元の30代男性は「毎年のこと。驚かない」。女子高生も「今年もそんな時期かって思う」(写真はTwitterより)

 ヤンキー(不良少年)たちが、存在感を猛烈にアピールした卒業シーズン。この現象の背景を探るべく取材班は、埼玉県川越市で変形学生服を販売する「学生服のマスコ」の益子淳一社長を訪ねた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=831924(店の奥にディスプレイされている変形学生服ほか) 「当社の変形学生服は通販で売っていますので、卒業式シーズンを控えた12~1月にかけて、沖縄や九州を中心に、極端なサイズの短ランとボンタンの注文がよく来るんです。背中には大きく『祝 卒業』、その下に尾崎豊などの歌詞や自作の詩を刺繍するのが一般的ですね」  こうしたハレの日を飾る変形学生服は、「卒業式用の学ラン」を縮めて「卒ラン」と呼ばれる。益子社長によれば、卒ランの注文を初めて受けたのは15年前のことだという。 「電話がかかってきて、いきなり『卒ラン作りたいんですけど!』って。こちらは『卒ラン』なんて言葉は知らなかったから、どういうものなのか一生懸命聞き出して、作りましたよ。当社はもともと高校や大学の応援団員から刺繍の注文を受けており、彼らは見えない裏側に座右の銘などの文字を入れますが、卒ランの場合は表側に入れるのが大きな違いですね」  かつてビーバップ時代のヤンキーたちもそうだったが、学生服の刺繍は自らの心の声を、人目を避けた場所に刻むものだった。自作の詩を声高らかに見せびらかす現代ヤンキーたちの姿は、まさに世相の移ろいを表しているのだろう。そしてその文面も、時代によって大きく変遷している。 「昔は『自分はこうやって生きていきたい』と自己主張する詩が多かったですが、今は『友達や仲間への感謝』が主流ですね。ただ、親への感謝の言葉がほとんどない点については、昔も今も変わらないですが(笑)」(益子社長) 取材協力/マスコ(http://www.masuko.co.jp/school/) ― 今どきヤンキーファッション考現学【1】 ―
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