日本の税関を簡単に通過できてしまう違法物品の数々
先日、トヨタのアメリカ人元役員が医療用麻薬を個人輸入していたとして逮捕(その後不起訴処分)され話題となった。元役員は「麻薬と認識していなかった」と供述する一方、薬品をネックレスに紛らせて送付させており、違法と認識していながらもあわよくば税関を通過できると踏んでいた可能性も否めない。それについて、海外の危険地帯を渡り歩き、TBS番組「クレイジージャーニー」でも体を張った突撃取材を行うジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏は、税関のグレーゾーンを縫って国内に入ってくるものはまだまだたくさんあると指摘する。そこで、「日本の税関をグレーゾーンで通過している危険物」をリストアップしてもらった。
①殺し屋、運び屋
「どんな危険人物であっても、必要書類が揃っていれば簡単に税関を通過して入国できます。裏社会からすれば、人間ほどあらゆる用途で使えるものはない。裏稼業でもビジネスでもデータや商品ではなくて人間を使えることのメリットが大きい。ほかにも風俗産業や肉体系の労働力としても求められる。現在、パスポートの偽造は非常に難しくなっていますが、それでも発展途上国のなかには、本物の旅券や身分を発給してくれるところもある。もちろん相応の賄賂は必要ですが」
ほかにも様々なやり方で人間を商品や利用価値のあるものとして「密輸」することもあるのだ。
②ドラッグ類
「これはすでにおなじみですね。ドラッグそのものを堂々と密輸するのは、ハイリスクではあるが近年の摘発量と流通量を比較すれば、圧倒的に後者が大きい。というのも、かなりの確率で税関をすり抜けているのです。堂々と手荷物に入れることもあれば、オイルや化学薬品に混ぜ込んで大量に密輸する業者もいる。個人でドラッグ自体を持ち込むことが難しいとしても、部分的に持ち込むこともある。代表的なやり口としては、屋内育成用の苗床セット(ライトと専用プランター)のような専門性の高い植物愛好家や研究者が使用するようなものは簡単に密輸できる。常習者はそこに大麻の種を持ち込み育成して、違法薬物をゲットしている。この種は、取り締まりの対象外とされることも多く臭いも薄いため、意外と簡単に税関をすり抜けることができるのです」
③武器
「日本では所持が制限される大型のナイフや両刃のものなど銃刀法違反の武器類も意外と簡単に税関を通過できる。それも特殊なことをせず、飛行機に搭乗する際の預入荷物にするだけでいいのです。さらに驚くべきなのは、銃などもそうやって簡単に持ち込まれているということ。ただし、こちらは完成品ではなくパーツだけです。金属パーツや金属のオブジェのような状態で輸入して、職人が再加工することで銃に作りなおすのです(日本で入手可能なパーツはそもそも不要)」
ただし、3Dプリンタの普及でこのやり方も過去のものとなる日が近いとも言われている。
④生き物
「ワシントン条約に抵触する生き物の持ち込みなどはそもそも難しいですが、生き物単体、それも生きていなければ大丈夫になることもあります。例えば、ジャガーやヒョウなどのネコ科の動物のように種類が豊富な場合には、剥製だけでも高額取引される場合もある。そのため、毛皮を手荷物で税関を通過させようとする業者もいます。その際に新聞紙などに包んでなるべく現地の土産物の民芸品の一種として持ってきたという嘘の事情を説明するなどして乗り切れるのです。そんな業者のなかには、トランクや箱のなかに水(業務用の厚いビニル袋か小分けの容器)に魚類を入れて運ぶツワモノもいます。用途は食用だったり、研究用の稚魚(持ち出しに制限がかかている)など様々です」
⑤アート・骨董類
「実はというか、当然かもしれませんが、税関職員は鑑定士でもなければアートディーラーではないので、ブランド物ぐらいは判別がつくものの、専門性の高い美術品をチェックすることはできません。そのため、資産価値が高く高額の関税をかけられるアート類や考古遺物などであっても、真贋の区別はつかない。そのため『お土産物と一緒に本物の絵画や美術品をしまって運んだり送ったりすんですよ。まずバレませんね』という業者も多いですね」
日本の税関が緩いのか、犯罪者のテクニックが高度なのか。いずれにしろ、グレーゾーンを縫って流入してくる違法物品はトヨタ役員の例以外にも後を絶たないということか。 <文/日刊SPA!編集部>
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