天ぷら油が発火…絶対にやってはいけない対処法
―[日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑]―
燃え盛る炎を見るとつい水をかけたくなるのが人情だが、水をかけてはいけないのは、金属カリウムや硝酸ナトリウムといった化学物質だけではない。
その典型が天ぷら油火災だ。天ぷら油は炎を近づけたら燃え出す「引火点」が310~320℃、火種がなくても燃え出す「発火点」が360~370℃とされる。
「天ぷら油に火がついた際の消火法としてよく耳にするのが、クズ野菜を放り込むというものですが、野菜には水分が多く含まれているものも多く、その水分が一気に蒸発して水蒸気爆発を起こすのでやめたほうがいい。ましてや水を注ぐのは自殺行為。激しい水蒸気爆発で火の勢いはさらに増す」(東京理科大学・松原美之教授)
裏ワザ的にマヨネーズを鍋に入れると消火できる、という方法もよく言われるが……。
「一般家庭に油の温度を十分に下げる分量のマヨネーズがあるか疑問ですし、かえって油が飛び散って非常に危険なのでやめておくべきでしょう」
また、パソコンや携帯電話が発火した場合も水での消火は禁物。
「パソコンやスマホ、携帯電話に使われているリチウムイオン電池は衝撃や熱に弱く、過電流が流れると発火します。うっかり濡れた場所に放置しショートしたり、衝撃で発火した場合、本体に水をかけるとリチウムが水と反応して水素が発生するので危険。消火の際は消火器で」と言う防災アドバイザーの中沢彰吾氏。自らの経験を基にユニークな消火法も提唱している。
「家庭火災対策で『混ぜるなキケン』の恐れがまったくないのは砂です。私の実体験ですが、ストーブから灯油が漏れて火災が発生した際、消火器でいったん炎は収まったものの、すぐに再発火してしまいました。消火器の泡が拡散してしまいピンポイントで酸素を遮断できなかったんです。
そこで、ボクシングのパンチングマシンの土台に海砂を入れていたことを思い出し、火元にばっさりかけたところ、すぐに消えました。電気製品がショートしてプラスチックが燃えた場合なども有効です」
― 日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑 ―
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