「硫黄入りの入浴剤」で毒ガス発生!? 一時期は生産中止も
―[日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑]―
身近なモノを“混ぜる”ことで毒ガスが発生する“まさか”の事例を、化学界の専門家の方々に聞いてみた。
「恐ろしいのは酸性洗剤と硫黄を含む入浴剤の組み合わせです」
と指摘するのは、東京理科大国際火災科学研究科の松原美之教授。
「この二つが混ざると硫化水素が発生します。これは一時期、硫化水素自殺によく使われたため、硫黄入りの入浴剤の代表格であった商品が生産中止に追い込まれたほどです。高濃度で吸い込んだ場合、ほんの数呼吸で呼吸中枢が麻痺して失神、死に至らしめてしまうこともあるのです」
硫化水素といえば、噴火口や硫黄泉などが発する「卵が腐ったような臭い」で知られる。それを感じたらキケンということなのか。
「よく『硫黄の臭い』と言いますが、硫黄はそもそも無臭で、これは硫化水素の臭いのことを指しているんですが、このガスには嗅覚を麻痺させる作用もあり、高濃度になると臭いを感じなくなるという性質があるんです」(サイエンス・ライターの川口友万氏)
部屋を綺麗にしようとして毒ガス発生とはシャレにならないので、洗剤関係は裏の注意書きをキッチリ読んで使用したい。
【防災アドバイザー・中沢彰吾氏】
元毎日放送(MBS)アナウンサー、記者。勤務防災・環境をライフワークに、労働問題にも鋭く切り込むジャーナリスト。著書『中高年ブラック派遣』(講談社刊)
ー 日常に潜む[混ぜたらキケン]図鑑 ー
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