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定価よりも高い「プレミア価格の腕時計」を買うのはバカなのか?

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。最近、知人から腕時計購入の相談をよく受ける私ですが、そんな人の多くが、すでに「プレミア価格の腕時計」を定価で買いたいと考えています(正しくはプレミアムプライスですが、ここでは「プレミア価格」と言われてきた文化を重んじます)。 「プレミア価格の腕時計」とは、定価では入手困難なため、定価より高い価格で取引されているモノを指すのですが、このような現象は腕時計に限らず、焼酎やウイスキーなどでも以前から起きている現象です。

斉藤由貴生

 こういった価格のモノは、本来の定価よりも高い値段でしか手に入らないため、「買うのがバカバカしい」と思われる方が多いかと思います。では、プレミア価格状態のモノを買う人がいないかというと、決してそんなことはありません。  ということで、今回は「プレミア価格の腕時計」は買ってよいのか、ということを考えてみたいと思います。  まず、「プレミア価格」について、2つのパターンがあるということを説明します。“定価より高い”という状態でも、「現行型」か「旧型」かということで違いがあります。  古いモノの価値が上がるということは、腕時計においてはよくある話ですから、旧型が定価よりも高くても、それほど損した気分にはならないでしょう。実際、生産終了となっているわけですから、新品しか取り扱いのない正規店では100%入手できず、中古品をプレミア価格で買うしかありません。  その一方で、今でも生産されているモノが定価で手に入らないというのは、とても損した気分と言えるかもしれません。本来なら正規店で定価で買えるかもしれないのに、それより高く買うなんてバカバカしいと思う方は多々いるかと思います。  腕時計において、プレミア価格の代名詞的存在といえば、ロレックスの「デイトナ」。このデイトナの3つの世代を例にしたいと思います。

事例1 デイトナ16520の場合

 90年代後半に登場した16520ですが、当時の定価は65万円(税別)でした。それに対して当時の新品実勢価格は100万円以上。実に数十万円程度「プレミアムフィー」を払わないと手に入らなかったのです。2019年現在では、デイトナのSSモデルが定価より高いということは「当たり前」というほど知られているかと思いますが、90年代後半当時、こうした現象は起きたばかりだったため、「いつかは安くなる」と思った方もいることだと思います。

デイトナ16520

 実際、当時この現象を雑誌で見ていた私も、デイトナを買う人の気が知れないと思っていました。しかし、その当時デイトナをプレミア価格で買うということは、実は間違いではなかったのです。  なぜなら、現在デイトナ16520の中古相場は200万円以上という水準に達しており、90年代後半の新品プレミア価格を、はるかに上回る状態となっているのです。つまり、当時「割高」で買ったとしても、現在買った値段以上で売却できる可能性があるのです。  90年代後半当時にデイトナ16520をプレミア価格で買い、現在まで持ち続けている方は、立派な腕時計投資家だと言えるでしょう。
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値下がるモデルも登場
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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