音楽好きの理想郷! “ロックなホテル”に泊まってみた
「ロックは死んだ」のだろうか。ジョン・レノンをはじめ、長年に渡って多くのミュージシャンが嘆いてきたが、ロック発祥の地アメリカでは、今もたくさんの人がロック音楽を愛してやまない。なかでも、球場との相性は良く、スタジアム中にロックが大音量で響けば、いつだって老若男女が身体を自然に揺らす。
野球とロックが大好きな人にとって、理想郷のようなホテルがアメリカの古都ボストンにある。「The Verb hotel(ザ・バーブ・ホテル)」は、ロックをテーマにしたホテルで、すぐ向かいに建つのは100年以上の歴史を持つ、メジャー最古の球場フェンウェイ・パーク。松坂大輔、上原浩治、田澤純一が所属したレッドソックスの本拠地といえば、分かる人も多いかもしれない。
1912年に開場したフェンウェイ・パーク。ホームランを阻む「グリーンモンスター」と呼ばれるレフト側のフェンスは有名で、歴史ある博物館のように年中ファンが訪れる。その佇まいは、赤レンガの街並みに溶け込む美しさと存在感がある。
そんなボストンのアイコンが目の前ということもあって、The Verb hotelは4月から10月までのベースボールシーズン中は、1泊300~400ドル台と跳ね上がる。にもかかわらず、数か月前から予約が埋まる超人気宿。ほぼ100パーセントの宿泊客がフェンウェイ・パークに足を運ぶために、このホテルを選ぶという。
そういった話を教えてくれたのは、フロント係の青年ジャック。ボストンで生まれ育った大学生という。聞けば、フロントで接客をするのは、ほとんどが大学生のアルバイト。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学はじめ、由緒ある大学が多い街だけに、学生のレベルも高いようだ。
「あなたのチェックインを担当したカールは、カトリック系の名門ボストン・カレッジの学生だよ」と、ジャックは教えてくれた。
思い出してみたが、カールの接客もフレンドリーで完ぺきだった。チェックインを済ませると、フロントから廊下まで出てきて、客室までの道のりを案内する。それから、廊下にしつらえてあったレコードの棚を指差し、「ここにあるレコードを自由に持っていって、部屋で聴くといいよ」とサムズアップ(親指を立てる)。そうか、とグランド・ファンク・レイルロードのLPを一枚抜き取った。
ホテルの公式サイトを見れば、スタッフは「OUR BAND(バンドメンバー)」として、紹介されている。だから、サムズアップして見送るだけなのだ。「ここは2階建て。部屋は2階だけれど、エレベーターはないので、ヨロシク。もしヘルプが必要なら言って」とカール。
だから、こちらもすかさず「大丈夫!」と笑顔で返す。まるで自分がアーティストで、スタジオ入りしたかのような高揚感を覚えて、今さっき選んだレコード盤とスーツケースを抱え、2階へと上がった。
客室の扉を開ければ、ゴキゲンなロックが流れてくる。テレビ画面に映っているのは、このホテルのウェルカムページ。そのバックミュージックのようだ。自分の“城”になる部屋にも広がるロックな世界観。すぐにテレビのチャンネルを変える気にならない。
ギターのアンプがある!と思ったそれは、なんと冷蔵庫だった。マーシャルのアンプにしか見えないのは、扉のデザイン。パカっと開ければ、どのホテルにもしつらえてある真っ白な庫内が現れ、至ってフツーに使いやすいサイズの冷蔵庫であることが判明した。
ロックをテーマにした人気ホテル「ザ・バーブ・ホテル」
ホテルのスタッフは「Our Band」、部屋もまるでスタジオ
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クールな公式サイト:https://www.theverbhotel.com/
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