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人気パチンコ機 「ジャグラー」「北斗無双」etc.の撤去を延期にした業界事情

 5月7日、パチンコ・パチスロファンにとって久方ぶりの朗報が発表された。  パチンコ業界13団体で構成される「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」(以下、21世紀会)、つまりはパチンコ業界で一番“えらい”会議が開催され、去年5月に旧規則機を前倒しで撤去しようとする決議内容を覆し設置期限の延長を決定したのだ。
パチンコ店

画像はイメージです

 これにより全国のパチンコホールから早晩消える宿命だった人気機種の「GOGOジャグラー」、「マイジャグラー」の設置が延長され、朝イチから客で埋まる「北斗無双」や「番長3」等の設置期限も来年2022年1月31日まで延長される。  一般のファンのみならず、コロナ禍で青色吐息のパチンコ店にとっても稼ぎ頭が店に残留してくれたのは喜ばしい話なのである。  では、一体どのような経緯でそれが実現したのか? 業界内の動きから見ていきたい。

旧規則機の撤去をめぐる動き

 まずはパチンコ業界を取り巻く状況の説明から。パチンコ業界の内部事情をかなり専門的に説明しているので読むのが面倒な読者は、次の見出しまで読み飛ばして頂いて構わない。  パチンコ業界では、2018年2月1日から遊技機の性能を定める規則が改正され、それ以降の遊技機を「新規則機」、それ以前の遊技機を「旧規則機」と呼ぶ。本来であれば2021年1月末までにすべての旧規則機は新規則機に入れ替るはずであったが、コロナ禍により国家公安委員会が規則を改正し、旧規則機の設置期限を1年間延長した。
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2020年1月、「アイムジャグラーEX」の発表会リリースより

 一方パチンコ業界団体は、21世紀会の決議により、国家公安員会が定めた設置期限より短いスケジュールでの旧規則機の撤去を決め、全国99.5%以上のホールがその決議に対する誓約書を提出。業界団体は厳しい内部規制のもと旧規則機の撤去を強く推し進めた。  業界団体が、法律が猶予する期限よりも早い撤去を促したのには、 ①政府のギャンブル等依存症対策を意識した高射幸性遊技機の早期撤去 ②旧規則機の、期限いっぱいでの一斉撤去による野積み対策  等があげられるが、コロナ禍の折、全国のパチンコホールは業績悪化の一途を辿り、また一部ホールでの誓約履行違反等の反発もあり、21世紀会決議内容に対する改定の声は業界内で高まっていた。これが今までの状況。

業界団体「21世紀会」が改定した3つのポイント

 今回の改定の主な内容は3点。  一つは、パチスロAタイプ遊技機をはじめとした、比較的射幸性の低い遊技機に関しては、当初21世紀会決議が定めた、「当初の検定切れ・認定切れ期限(最大6年)から210日以内に撤去」というルールを「(210日から)最大1年以内」に改定。  これにより、5月から8月までに撤去を余儀なくされていた、GOGOジャグラー、マイジャグラーⅢ、マイジャグラーⅣ等は、約5か月間設置が延長される。  次の一つは、高射幸性遊技機及びパチスロAタイプ遊技機(等)以外の「その他の遊技機」については、「当初の検定切れ・認定切れ期限から1年以内」としながら、最大で「2021年11月30日までに撤去」から「2022年1月31日までに撤去」に改定された。  これはパチンコの初代「北斗無双」や、パチスロの「番長3」、「ディスクアップ」等の遊技機の設置期間が長くなるということ。ちなみに一部業界関係者やファンからは「沖ドキ」の再設置が許されたのではないかという声も聞こえるが、事情に詳しい業界関係者から「それは無い」との確答を得た。
PiDEA Web

PiDEA Webより)

 もう一つは、旧規則機の撤去について、新たな目標として、期限ごとにホール内の新規則機の設置比率を定めたというもの。ホールの設置台数に対する新規則機の設置比率が、5月末までに60%、9月中旬までに80%、11月中旬までに90%、来年1月末までに100%という風に細かく設定されている。
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パチンコホール店長からは、安堵と危惧の声が
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フリーライター twitter:@yuu_adachi

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