大麻解禁のサイパン「麻薬ツーリズム」の誘惑。日本人誘致に期待する現地の声
北米で続々と娯楽用大麻が解禁され、渡航して堂々と嗜む日本人の姿も報告されている。こうしたなか、日本から近いリゾート島でも本格的に解禁が決定した。日本人が殺到するのか!?
世界で広がる娯楽用大麻の合法化の波が、いよいよ日本の「隣国」にまで到達した。東京から2500km足らずのサイパンを中心とした米国自治領、北マリアナ諸島自治連邦区(CNMI)で、娯楽用大麻の栽培や製造、小売りライセンスが初めて発給されたのだ。
CNMIでは’18年に娯楽用を含めた大麻の栽培や使用が合法化されていたが、商品化や売買は認められていなかった。それが3月に入り、サイパンの農園業者に対し、同島初となる商業栽培許可が発給された。さらに5月には同島の企業に対し、栽培と加工、小売りの認可が下りたのだ。
これに基づき、いわゆる「ディスペンサリ」と呼ばれる大麻小売店が開業されることになる。21歳以上なら誰でも合法的に大麻購入が可能になり、日本から最も近い「娯楽用大麻合法の地」になるのだ。
CNMIが合法化を進める最も大きな目的は「大麻ツーリズム」による観光客の誘致だ。サイパン在住4年の日本人男性は言う。
「観光産業が大きなウエートを占めてきたCNMIの経済はコロナ禍で大打撃を受け、失業率も上昇しています。大麻の合法化についてはコロナ前からも進められてきたが、今後の観光業の起死回生のウルトラCとして、知事主導で合法化のスピードを速めたのです」
栽培許可を得た農園業者スライダー・マリアナ社の代表・ビクター・カブレラさんは言う。
「まだ始まったばかりで、需要もわからず、大麻産業でどれだけ成長できるかは不透明ですが、ディスペンサリやレストランなど大麻関連商品を扱う小売業者が順調に増えていけば、将来性もある」
そう語ったうえで、日本人にこうメッセージを送った。
「CNMIでは大麻に対するマイナスイメージもないので海外からのマリファナツーリストも非常に歓迎されます。コロナが落ち着いたら日本の人たちもサイパンに来て、大麻を楽しんでほしい」
こうしたなか、早くもサイパンでの大麻ビジネスに動きだした日本人もいる。都内在住の自営業の男性(30代)は言う。
「コロナ前は『海外投資視察』や『仮想通貨海外研修』と銘打って、上昇志向の強い大学生や若者を集めて東南アジアに連れていっていました。参加費は3泊で約20万~30万円。10人集めれば100万近くの利益が出ることもあった。コロナもあり、この手のツアーは難しいでしょう。
そこに降って湧いたのがサイパンの大麻合法化。大麻愛好者が集まるテレグラムのグループチャットで参加を募ったら、すぐ40人くらい希望者が集まった。ワクチン接種を済ませたら現地に視察に行き、冬休みに第1回のツアーを開催したいですね」
日本人向けのツアー開催や、小売店開業を目論む人も!
サイパンでの大麻ビジネスに動きだした日本人も
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
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