自己主張が強すぎるモンスター新入社員。専門家に聞く行動心理と対策
上司や同僚を困らせ、会社にダメージを与える「モンスター社員」の存在。一般常識が通用しない彼らに、頭を抱えている人も多いだろう。職場でモンスター社員に直面した時、私たちはどう対応すべきなのか。
とある中小企業の現場を崩壊させた新入社員のエピソードをもとに、問題行動を起こす若者たちの矯正教育の専門家である法務省・保護司の池田正興氏に解説してもらった。すると見えてきたのは、令和の若者が抱える深刻な心の闇だった——。
「第一印象は“挙動不審”。受け答えが普通じゃなくて、見た目は“オタサーの姫”って感じ。最初から不思議ちゃんオーラが出ていました」
今年4月、咲子(仮名)さんが働く広告代理店に新しい女性社員がやってきた(以下、A子)。
A子はいわゆるZ世代(1995年以降に生まれた若者)の26歳。今までに2社勤務経験があるが、どちらも長続きしなかったそうだ。
「面接時から会話が噛み合わない感じはしていました。服装も上はスーツなのに、靴だけ地雷系ファッションのような厚底のローファーで……あれ? と思うところはあったんですが、人手不足なのもあって即採用されたんです」
営業課に配属されたA子。入社後まもなくして、面倒な行動を起こしていく。
「まず、お礼と謝罪の仕方がすごくオーバーで。例えばミスをして誰かがフォローしてくれた時、『あ~~! やってくれたんですかぁ~~! ありがとうございますぅ~!! ごめんなさいごめんなさい、ほんとにごめんなさい~~!!』みたいな(笑)。しかも深々と頭を下げながら言うので、こっちが悪いことをした気分になるんですよね」
「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えない人間よりはマシなのかもしれない。しかしA子のオーバーリアクションに、社員たちはげんなりし始めていった。
「A子は仕事ができず、営業に行っても契約がまったく取れなかったんですよ。その度に『ごめんなさいごめんなさい~!!』って指導役の先輩に謝り続けていました。耐えかねた先輩が、『そこまで言わなくていい』って注意したんです。それに対しても、『ほんとにごめんなさい~~!!』でしたからね(笑)。その様子を見ていた掃除のおばちゃんが、『ヤバい女が入ってきたね』ってあ然としていました」
言動がオーバーなくらいなら、「ちょっと困った社員」で済んだだろう。だが彼女の厄介さは、周囲に悪影響を及ぼすレベルだった。
「ある時A子から、『B先輩から毎晩電話がかかってきて困っています』と上司に報告がありました。電話越しに相談や愚痴を何時間も聞かされると言うんです」
咲子さんや同僚たちはA子に同情した。転職先の先輩からの電話だ。A子も断りにくく、仕方なく付き合っているのだろう。Bさんに対する社員の目は冷ややかなものになっていった。
しかし、真実は違ったのだ。
見た目もリアクションも「地雷系」のモンスター新入社員
エスカレートする問題行動
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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