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車券の鉄人が予想への活かし方を解説。実は重要な「競輪と風の関係」

逃げちゃダメなのか? 強烈な冬の北風での競輪車券戦術

立川競輪場

立川競輪場 写真/SPA!編集部

 強烈な北風が吹く冬場は公営競技の予想において重要な要素の1つだ。最近では競馬でも最後の直線で向かい風が強いとトップスピードが出ずに前残りになりやすいという話もあったり、ボートレースではスタート追い風、向かい風で展開の有利不利が大きく変わったりする。  そして今回取り上げる競輪の場合もスリップストリームが展開に大きく影響する競技がゆえに、冬の強風はレースに大きな影響を及ぼすのだが、その内容を整理してみよう。

初日の予選で逃げ壊滅。暴風吹き荒れた立川記念の場合

 競輪の「逃げ」は全国平均で約3割以上の勝率がある。余談だが、競輪では逃げと先行は同じ意味で、競馬における「先行=逃げ」以外の前々、とは違ってくる。  話を戻すが、逃げは自らの能力を発揮しやすい戦法かつ、ラインの味方による援護が望めるのが利点だが、欠点は風圧・スリップストリームを大きく受けて体力消耗が激しいこと。生身の人間が時速60kmで移動する風圧の影響は競馬やボートの比ではない。  そのため、体力が切れる「売り切れた」状態になると急失速して大敗してしまうリスクがあるわけだが、風が強いとその風圧はより強烈になってくる。追い風のときは後押ししてくれるが、向かい風になると辛いわけだ。そして、逃げの戦法はコースを1周以上逃げるため、どこかで必ず向かい風の部分が存在することで、体力消耗は無風のときと比べて非常に大きくなる。  実際の例として今年1月4日にあったG3立川記念の初日で説明しよう。この比は昼までは割と日差しがあり、風速も1m程度に収まって厚着をしているとむしろ「暑い」とさえ思う陽気だった。  立川競輪場は直線が長く逃げ不利といわれるなかでも、残り半周地点で先頭だった選手が1Rで2着、3Rで1着になるなど連絡みをしていたのだが、5Rから天候が急変。風速発表が3m~4mに変わってしまったのである。  競輪の風速発表は場内の風速計での計測のため、若干一般的な気象関連の値より少なめの値になりがちで、実際建物がなにもない地点ならば倍以上の風速になっていることが多い。  その結果、残り半周地点で先頭だった選手は5Rから12Rまでの8レースで2つのみ。さきほどの1m時での4レース中2レースだった状況から、きっちり2倍逃げ粘りが難しくなってしまったのである。  しかも、その逃げ粘りがあったレースも9Rで逃げて2着となった岩谷拓磨選手のラインが思い切って仕掛け、4番手以下が離れて第二先行といわれる状況で後続が風に晒され、追いかけられなくなったもの。10Rでの2着松井宏佑選手の逃げも残り1周前までで結構スピードを出していた久島尚樹選手を叩いて先行したため、すでに失速した久島選手に続いていた後続が離れていって風に晒されたもの。  つまり、風が強いが思い切って逃げ、後続を離すことで風に晒した結果「だれも追いかけられないから残った」逃げの、しかも2着までだったのである。このように、風が強い日は基本追込の勝負になり、一部で強い逃げが後続を離したときに逃げの後ろの差しでのワンツーになるということが多いのだ。
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強風の翌日は注意が必要!?
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公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright

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