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10月には小麦の4割値上げもある!? それでも円安が悪でないと言えるワケ

―[今週の顔]―

ヤバい円安

 円がルーブルよりもヤバい! そんな声がSNS上に溢れたのは3月28日のこと。円安が加速して6年7か月ぶりに1ドル=125円台をつけた日だ。米国が利上げし、欧州も金融引き締めに動くなか、日銀だけが“超”緩和策を維持したことが引き金になった。
10月には小麦の4割値上げもある!? それでも円安が悪でないと言えるワケ

’15年6月に1ドル=125円をつけた際、黒田総裁が円安牽制と受け止められる発言をしたことから、125円は「黒田ライン」とも言われる。このライン突破はあるか? 写真/産経新聞社

 黒田東彦総裁が繰り出したのは「連続指値オペ」。利回り0.25%で10年国債を3日間、無制限に買い入れる!と宣言した結果、超低利の円が売られまくったわけだ。そのヤバさは、輸入物価の上昇を加速させる点にある。経済エコノミストが話す。 「日本経済に最も大きな影響を及ぼすのは原油。円安が進むほど輸入価格が上がり、電気代やガソリン代の上昇を通じて家計負担を増大させます。すでに電気代は上がっていますが、これは直近3か月間の燃料価格に基づいて改定されるもの。  つまり、ウクライナ危機で高騰した原油価格と円安が反映されるのは6月頃なのです。同時に注視しなければならないのはロシアとウクライナで世界の輸出の25%以上を占める小麦。日本では政府が一元的に輸入して企業に卸していますが、足元の小麦高騰と円安が続けば、10月の価格改定時に4割以上の値上げもありえます」

実は円安そのものが悪者ではない

 こうしたインフレ圧力が、今「ヤバい円安」と非難されている理由。だが、実は円安そのものが悪者ではない。 「輸入物価上昇の為替要因は4分の1程度です。そもそも円安が経済成長率を押し下げたことはありません。内閣府のマクロ計量モデルを見ると、10%の円安なら3年で0.7%以上GDPを押し上げることがわかる。輸入企業にはマイナスでも、輸出企業や輸入品と競合する企業にはプラスに働き、設備投資や雇用増を通じて家計にもプラスに働く。実際、アベノミクス以降の円安相場では雇用が増加に転じました」  ちなみに「円安=日本売り」との指摘もあるが、「世界的格付け会社は日本国債の見通しを引き上げている」(経済エコノミスト)とか。本当にヤバいのはロシアに端を発するモノそのものの高騰なのだ。 ======
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為替の安定が望ましい
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