北方謙三「『ソープに行け!』は兵隊に言ったらマズいんだよな(笑)」
7/30発売の週刊SPA!「エッジな人々」では、北方氏の渾身の作『水滸伝』『楊令伝』『岳飛伝』の3部作からなる「大水滸伝シリーズ」について大いに語ってもらっているが、やはり「北方節」は聞きたい。そこでこんな質問をぶつけてみたところ……。
――最近では、北方作品に数多く登場する酒もタバコも嗜まない若者が増えています。世の中全体が去勢され、北方ダンディズムとは真逆の方向に進んでいるようにも思えるのですが……。
北方:むしろ人類は破滅に向かって進んでいると思うね。今の禁煙ブームはアメリカから来ているけど、アメリカなんて酒が禁止されていた時代がある国だよ? あの時代は違法の酒がガンガン造られ、ギャングが跋扈した。それにタバコがダメだって一番言っているアメリカ自体がすごい葉巻大国じゃないか。息子が生まれたら葉巻を配る習慣があったり、サーキット場なんかでも、観客席で売り子が箱を抱えて葉巻を売りに来る。元を辿ればインディアン(ネイティブ・アメリカン)から残されてきた文化だったのに、「健康に悪いもの」というだけで問答無用で“悪”ということにしてしまった。多くのタバコメーカーだってアメリカ企業でしょ。だから、そこは橋下市長の失言と一緒なんだよ。つまり、世の中には本音と建て前があるっていうこと。「ソープに行け!」っていうのは童貞に対して言ったからよかったのであって、同じことを兵隊に言っちゃマズいんだよな(笑)。
と、意外な方向から今の世の中をバッサリ! さらに溢れ出す「北方節」をぜひ本誌で堪能してほしい。
<本誌構成/小野田 衛 撮影/丸山剛史 再構成/SPA!編集部>
ハードボイルド小説、そして歴史小説の大家・北方謙三。「どうせ君たちも『近頃の小僧は~』とか俺に説教させたいんだろ?」と本人も語るほど、若者たちに喝を入れるハードボイルド人生相談は強烈だった。
しかし、「でも俺、小僧は小僧でいいと思っているの。いつかは小僧でいられなくなる時期が来るわけだけど、今はそれが後ろになっている気はするね。35歳くらいで、ようやく小僧から男になる感覚だ」と、意外にも(?)、若者に対する目線は優しい。
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